総選挙目前
国民の怒りと、要求実現を前面に政治を変え、暮らしを変えよう

 六月二五日投票で総選挙が執行されることが、ほば確定しました。今回の総選挙は「自自公」から「自公保」の森政権に変わったとは言え、この間の三党連立政権による年金改悪などの悪政の数々によって、戦後最悪の不況が続き深刻な生活苦と将来不安が国民に押し付けられてきている中で、この悪政連合に対する厳しい審判を下し、これを転換する「チャンス」とも言うべきものです。
 この国の政治は国民の暮らしを守るどころか、国民に次から次へと苦難を押し付けており「この政治を変えなければ暮らしが守れない」との大きな怒りが国民の間に高まっています。私たち「自治労連」にとって、この総選挙はどんな意義があるのか、労働組合としてどう闘うのかを辻義則委員長に聞きました。

一、今回の総選挙はなにが問われるのか

@年金改悪などの悪政の数々に審判を

 今回の総選挙は、何よりも九八年以来続いた自自公連立政権による年金改悪、リストラ推進の産業再生法、日の丸・君が代法の強行、アメリカの戦争行為に参加協力する戦争法など悪政の数々に国民の審判を下すことです。
 そして国民の自民党政治に対する批判が高まるなか、小渕、森政権は公明党などを取り込むことによって「国会の中での圧倒的多数」を確保し、これを寄りどころに文字通り「数の暴力」によって悪政を堆進してきました。この「数の暴力」による議会制民主主義の危機とも言える事態にストップをかけることができるかどうかが問われています。

A公約違反、憲法違反の「自民・公明中軸」政権

 この「数の横暴」という点では、「反自民」を掲げていた公明党が選挙の審判を得ず政権に参加しているという公約違反の問題とともに、そもそも政治と宗教の分離を掲げる日本国憲法の規定から見て、特定の宗教団体に支配された政党が政権に加わることが許されるのかどうかが、「自民・公明・保守」政権を許すのかどうかを通して問われています。

B「自・公政権」に変わる民主的な連合政権の実現へ接近できるのかどうか

 国会前での全労連や連合による事実上の共闘に支えられ、国会内でも「民主・共産・社民」による野党共闘が実現し前進しています。これは、これまでのように野党共闘に参加しながら最後には自民党と手を組む公明党がいなくなってスッキリしたからとも言われていますが、この実績を踏まえて、「自公政権」に変わる「民主・共産」などによる野党連合政権を期待する声も高まっています。
 これは、「自・公」政権で引き続き政権を維持するために過半数の確保をめざす自民党野中幹事長などによって「民主・共産政権を許していいのか」とのどう喝めいた路線選択が迫られているため、逆に現実味を帯びてきたという面があるものの、現実的には民主党が「絶対にない」「共産党が綱領を変え、名前を変えるなら」などと言っていることからも、まだ機は熟していないとの感もあります。
 ただ、国民のなかには「政治を変えなければ暮らしが守れない」との思いが深刻な不況のもとで強くなっているだけに「自・公政権」を過半数割れに追い込み、民主、共産による野党連合政権をとの声や期待があることも事実です。
 いずれにしても、総選挙の結果次第では文字どおり「政治を変えられるチャンスが訪れる」可能性があるということではないでしょうか。

二、どうにもならない行き詰まり現象にある、この国の政治

 戦後最悪の不況によって、とうとう失業者は五%、四〇〇万人に近い水準。「サービス残業も必ずしも違法とは言えない」(国会で森総理答弁)といったビックリ発言(さすがに労働大臣からメモが回って訂正)も出るほどにルールなき資本主義といわれるこの国で政治は全くの無策状態。
 景気対策と言っては繰り返される公共事業によって大きく膨らんだ借金がとうとう国・地方合わせて六四五兆円という財政破たん。こんな事態になっても「私は世界一の借金王」などとふざけて済ませる、この国の総理大臣。ムダな公共事業に五〇兆円、社会保障に二〇兆円という世界にも例を見ない逆立ちした財政運営を改めようとしない政治。
 四月からスタートした介護保険も介護の現場からは「今まで受けられたサービスが受けられない」との悲痛な声が出ているにもかかわらず「スムーズにスタートしている」新たな負担の問題などの指摘も「細かな問題」と切り捨てる感覚。
 国民の暮らしをめぐって、どの分野も深刻な事態に直面しており、どうにもならない行き詰まり現象にある、この国の政治に対して「自自公」から「自公保」と続く自・公政権は文字通り「かじ取り不能」の事態です。
「二十一世紀の日本をこんな政権にまかせるわけにはいかない」ということではないでしょうか。

三、自治労連が掲げる暮らしと地方自治を守る要求(骨子)

(1) 公共事業に50兆・社会保障に20兆という「逆立ち」 政治をただし、社会保障・国民のくらし優先の政治、 「労働者・国民が主人公」 の新しい政治への転換。
(2) 公務・民間を問わないリストラ攻撃をやめさせ、 労働者の社会的地位の抜本的向上、国民生活を守る民主的ルールの実現。
(3) 国際的にも異常な借金政治をやめ、国と自治体の財政を国民本位に確立する。
 地方財政危機を住民本位に打開して、 住民が主人公の地方自治の実現。 
(4) 「戦争法」 を発動せず、 憲法の平和民主的諸原則を遵守する政治の実現。

四、「滋賀自治労連」と選挙闘争について

 自治労連は組合員の政党支持、政治活動の自由を保障し、労働組合として特定の政党や候補者を推薦決定したり、これを組合員に押し付けたりしないという方針を確立しています。同時に、今日の暮らしの問題や自らの老後の問題など将来のことを考えれば考える程「この国の政治を変えなければどうにもならない」との答えにぶつかります。今回の選挙は、そうした意味においても本当に大切です。
 労働組合として、すべての組合員が自覚的に選挙闘争に参加できるよう「政治と暮らしの問題」「総選挙の意義と争点・なにが問われているのか」「どうすれば政治は変わるのか」「自・公政権と野党連合政権から革新連合政権の展望」などのテーマでの学習教育の活動を強めることが大切です。一部に、自治労連は組合員の政党支持の自由を掲げていることや私たち自身が地方公務員であることをもって「中立主義」に陥ったりする考え方がありますが選挙闘争は大事な「要求実現のたたかい」です。
 そんな、労働組合の運動を踏まえ一人一人が市民として政治に関わることは民主主義の基本的な権利に属する問題です。
 職場で、地域で、多くの国民がいきいきと政治談義の風を吹かし、主権者として堂々と政治に参加する…そんな民主的で「当たり前」の社会を実現したいものです。 

みんなの声
◎初めて応募します。クロスワードパズルは中学生の娘も一緒に考えています。言葉を知るのにいい勉強になります。これからも楽しみにしています。
(甲斐とし江・滋賀県職)
◎最近、我が家では子供二人が卵を割ることを覚えたようで、四歳の息子は上手に白身と黄身になるのですが、二歳の娘は殻はぐちゃぐちゃ手はネバネバととんでもない状態になっています。それでも毎日、一生懸命がんばっています。卵料理にはげむ母でした。
(永原美由紀・栗東町職)
◎子供はかわいいですが、誘拐のニュースなどで心配事が増えました。
(那須大城・滋賀県職)
◎花見に行きたかったのに昨日の雨と風で桜は散りかけ残念。来年は楽しむぞ!
(清水ちあき・豊郷町職労)
◎自治体に働く婦人の全国交流集会にむけての物資あっせんが始まりました。この大会が成功するのは女性だけでなく全組合員の協力があればこそ!組合員の勉強の機会、また、まとまりを強める機会として取り組んでいきたいと思っています。まずは、物資販売にご協力よろしく。
(福本喜美代・日野町職労)
◎二一世紀の新しい扉をひらく第七一回メーデーはいかがでしたか。ほんとうにいいお天気で良かったですね。
(小林正樹・栗東町職)
◎通勤二時間(片道)がんばっている。当選したら、行き帰りの電車で読む本を購入したいです。
(関口学・滋賀県職)

人・街ざっくばらん
新採三年目の今…… 前川ひろ美さん(大津市労連)

 四月は、自治体や関連職場でも新しい仲間を迎える時です。大津市労連では毎年、新採職員を対象にした「ウェルカムパーティー」を市役所に入って二年目のメンバーを中心に実行委員会をつくり企画・運営をしています。
 前川ひろ美さんは、昨年のパーティーでスタッフとして準備や当日の司会をつとめました。回りの話によると、総務部長からも「おもしろかった」という感想があったということです。
 出会って話をしてみると、快活で明るい人ですが、けっしてハデで目だつタイプでなく控えめなところが印象的でした。そんな性格が買われたのか、現在は市役所に入って三年目で市職員組合の執行委員をしている若手ホープでもあります。
 前川さんの趣味のひとつは、生け花とお茶です。生け花は高校のクラブからで、お茶は大学のクラブ活動で始めて現在は、市役所にある茶道部で続けています。その良さを聞くと「仕事とは違う時間のリフレッシュ、人との出会い」にあると話してくれました。
現在の仕事は、教育委員会で義務教育の就学奨励費担当ですが、公務員になってみて市役所の中でみんな遅くまで仕事をしていることに驚いたといいます。仕事は「失敗もありますが、いい勉強になっています」「住民のみなさんと接する中で不況やリストラでたいへんな暮らしや、いろんな人生があることを知りました。それに比べ自分が今日まで両親のもとで、恵まれた環境で育ってきたことに気づき、普通にしていたら幸せになれるものでもないということなどもわかりました」という言葉に実感がこもります。
 現在は、弟さんと二人で大津市仰木の里で暮らしています。出身は今津町で、「交通や冬の雪など不便なところもありますが、なんといっても琵琶湖と山の対比がきれい」。「仰木の里も環境のすばらしいところですが、今津の家に帰ると子供の頃に遊んだ田圃や林がなつかしい」と話してくれました。