病院特集 安心の医療を支えるのは人
「経費優先」の独法化では
県民の命と健康まもれない


 住民の命と健康を守る最前線の現場である公立病院は、民営化や独立行政法人化の大きな波にさらされ、財政的な問題からも、その役割や形態が大きく変貌させられようとしています。財政上の問題はもちろん、慢性的な人員不足や増大・多様化する医療需要への対応などから、多くの自治体病院が今、「公立堅持」か「民営化・独法化」かの選択の岐路に立たされています。

何時でもだれにでも安心の医療を

 大津市では、大津市民病院の20⊥7年4月からの独立行政法人化(独法化)に向けて準備が進められています。しかし、一般的に独立行政法人になると、経営効率を優先するあまり、スタッフの労働条件の悪化による職員不足・病棟閉鎖や、個室料金の値上がりなど利用者の負担増などにつながる事態が起こっています。 この間、病院労働組合と病院臨時職員労働組合では市当局に対し、「自治体病院の役割を守っていくこと」「よりよい医療を提供していくためにも、スタッフが働き続けられる賃金・労働条件に改善していくこと」を要求の柱にして交渉・協議を重ねています。6月1日の夏期総務部長交渉では、病院職場の多くの職員「良い医療提供したい」願いをこめた「団結署名428筆」の思い・願いのこもった「団結署名428筆」を市長あてに提出しました。
 当局は交渉や議会のなかで、「独立行政法人になっても、大津市立病院であることに変わりはない。不採算性医療についても必要な経費は確保・維持していく」と回答しています。
 大津市民病院は他病院と比べて職員の離職率が低く、その結果人件費率が高い状況にあると検討委員会で議論されていました。しかし、それは経験を重ねたスタッフが多いという大津市の財産でもあります。組合では今後、院長交渉を実施するなど要求前進に向けて運動を進めていきます。

人的な体制強化を要求
     新病棟がオープンする県立成人病センター

 滋賀県立成人病センターでは、病院機能を再構築するため、センター第二期改築工事として新病棟の整備を進めており、平成28年11月7日にオープンする予定です。高度専門医療の提供と全県型医療の展開に向けた病院機能の強化として、「無菌病棟」、「疾病・介護予防センター」、「臨床試験・治験センター」などの新たな機能を整備する他、「外来化学療法センター」の拡充等を行うとしています。
 県は、「新病棟整備に伴い看護師の定数は増やした」としていますが、育児休業中の職員や子育て中で夜勤に入れない職員も増えています。
 県職員組合は、今でも「休みが取れない」「時間外が多い」などの職場の声を受け、41床の増床には、50名以上の欠員状態を解決するよう要求しています。

最賃一〇〇〇円以上を

 最低賃金は、パートやアルバイトだけではなく正規職員の給与にも大きく関係しており、その額は8月に行われる中央最低賃金審議会で示される引上げ額の目安を参考にしながら、各地方の最低賃金審議会や実情等を踏まえて10月に決定される仕組みとなっています。
 滋賀自治労連は国民春闘滋賀県共闘会議の一員として、政府も掲げる「時給一〇〇〇円」の早期実現をめざし、滋賀労働局への意見陳述や審議会の傍聴はじめ、各駅頭での宣伝行動や中央行動などにも積極的に取り組んでいます。

病床数の削減ありき国・県の医療構想


 厚労省は2015年、「地域医療構想ガイドライン」を発表し、「2025年の必要病床数は現状よりも全国で20万床削減可能」とし、この構想と整合性のある医療費の目標設定を、各都道府県に求めています。医療施設調査では、現在の病床数は134万7000床で、そのうち高齢者など慢性期の患者を受け入れる「療養病床」最大で約10万床の削減を示しました。この結果を基に、各都道府県は二次医療圏毎の病床数を算定することが求められました。
 滋賀県が7月に策定した「滋賀県地域医療構想」によると、県内の2015年現在の全病床数12620床から1147床削減する計画になっています。
 例えば、大津圏域では「高度急性期800床減」の計画になっていますが、各医療機関が現実的と考える病床転換の報告ではその計画はゼロになっています。
 国・県が求める計画と地域の実態には大きな禾離があると言わざるを得ません。滋賀県では、「全国的にみて少ない療養病床の中で慢性期患者の対応をしている。また、在宅医療資源等の体制整備は十分とはいえない状況にあり」との認識を示しています。
 しかし、その解決のために慢性期病床を増やすという方針ではなく、厚労省が示した需要推計に準拠した病床数算定になっています。また、「地域で享見る医療」については、貝体的な療養病棟から在宅医療への移行プランは見当たらず、「地域医療に必要なベッドを守れ」の声が高まりそうです。
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語り合い・絆を深め・学びあう
   単組間交流会
        仕事と要求実現の力へ

 滋賀県自治体労働組合共闘会議青年部は6月10日、「大津市労連と栗東市職」、「日野町職労、滋賀県職と近江八幡市職」の二組に分かれて、今年で2年目を向かえる単組間交流会を開催し、親睦と交流を深めました。全体で66名の参加があり、普段職場や単組ではつながることができない部分でも交流がすすみ、新たな絆を作り出すことができました。

近プロ関連協総会で経験交流

 近畿ブロック関連協は6月12日、第13回総会を大阪グリーン会館で開催。滋賀からは4人が参加しました。
 学習会では、首都圏青年ユニオン副委員長の清水文美さんが、コンビニの『名ばかり店長』として長時間勤務を強いられて心身ともに憔悴して働けなくなりましたが、労働組合での交渉や裁判闘争で、待遇改善と復職を果たした経験と報告がありました。討論では、滋賀自治労連として、とよさと元気村支部の職場闘争の状況や指定管理職場の近況を報告しました。

願いつないで 
    核兵器のない社会へ
        2016平和大行進


 2016国民平和大行進は6月21日、山科で無事に京都へと引き継がれました。関ケ原から6月16日に滋賀県入りした行進団はコース周辺の各自治体に平和行政の推進などを要請しながら県内を南下し、広島・長崎に向けて平和の願いを繋げました。6日間で600人を超える参加がありました。

第31回自治体にはたらく
青年のつどい in広島に参加


 
 自治体ではたらくことの意義や役割を考えるとともに、労働組合が果たす役割について学んできました。また、「全国をつなぐ平和メッセージ」の取り組みなどを通して、改めて平和の問題と向き合う機会を持つことができました。講演では被爆された方から当時の体験を語っていただき、被爆者として戦後どのように生き、どのような思いで過ごしてきたのかを聞き、平和について深く考えさせられました。
         奥山泰世 大津市労連
 私たちの世代は被爆者から直接体験を聞くことのできる最後の世代であると言われており、今回お話を聞くことができたのはとても貴重な機会であり、私たち青年が次世代へ語り継いでいく必要があることを認識させられました。また、青年同士で話し合うことで、平和への様々な考え方、そして自治体職員として平和について考えることの重要性を改めて感じることができました。
         地原将史 要東市職

みんなの声

◎この春から市民農園を借りて野菜づくりをしています。今は夏野菜が収穫できます。ナス、キュウリ、シシトウ、ピーマン、トマトが毎日とれます。食べ飽きないように、いろんな料理に挑戦したいです。
 (西井洋平 滋賀県職)
◎最近ジョギングを始めました。続けていきたいと思っています。
 (中村隆宏 大津市労連)
◎園児約250人の園に異動して早3カ月。まだまだ子どもの名前も保護者の顔も覚えられていません。つめこみ保育も大反対ですが、園の大規模化もメリットはないと日々感じています。
 (辰巳文子 要東市職)
◎公園のベンチの修繕にボランティアで参加して、住民の方も喜んでおられ、良い経験となりました。
 (賓藤篤志 日野町職労)
◎健康診断が近いためランニングでダイエットしようと必死で頑張っています。年々やせにくくなる体、落ちる体力。頑張らねば!
 (村山功 大津市労連)