しがの仲間 242号

公正・公平な評価は不可能
人事評価制度の問題点

大津市労連調査「制度への公平性・納得性・信頼性」あり=4.1%

 能力・成果主義の「人事評価制度」に成功例は無く、諸外国でも民間企業でも、国や先行自治体でも、制度の見直し・試行錯誤の繰り返しになっています。納得性の低い評価制度で個々人の意欲や組織力が低下し、職員間のコミュニケーションを確保し、風通しの良い職場を作ることが民間企業での課題となっています。地公法の改悪により「評価制度」の導入が法定化されたことから、今後各自治体でも制度の具体案の提起が想定されますが、既に、制度の試行が行われている大津市の状況を報告いただきました。

大津市労連の現状
そもそも公務に人事評価はなじまない!!


 大津市では、2006年度から人事評価制度の試行が始まり、試行対象者が管理職から一般職へと年々広げられていきました。当初のスケジュールでは、市当局は2011年度から勤勉手当等へ反映するとしていましたが、大津市労連からの問題点の指摘や、評価結果の部局間のバラつきなど課題が多いことから、本格実施(賃金反映)が見送られました。
 その後、採用・異動・昇任・降任など人事制度全般にかかわる「人事制度の再構築に係る方針」が当局から示され、その方針の中に人事評価制度の評価結果の反映も位置づけられています。
 賃金反映については、今年度の12月の勤勉手当から(管理職のみ)行われ、2015年度から一般職の勤勉手当まで対象者が拡大、昇給については、今年度の後期・来年度の前期の評価結果に基づいて、2016年1月の昇給で反映されます。
 この間の交渉や協議において市当局は、評価結果の反映はスケジュール通りに進めていくが、改善の必要なところは見直していくと回答しています。
 「そもそも公務公共業務に人事評価がなじまないこと」「公平・公正性の確保など評価制度の基本原則が確立されていないこと」「人員不足のなか評価作業が負担なこと(特に庁外職場ではPCが少なく時間外に入力や面接を行っている実態も)」など、職場からの声や問題点を訴え制度の見直しを追及していきます。
(評価の4原則…①公平・公正性の確保②透明性の確保③納得性の確保④信頼性の確保)

自治労連近江八幡市職が総務部長交渉
総務部長も「水準調整」の必要性認める


 自治労連近江八幡市職は1月20日、2015年4月実施の「給与制度の総合的見直し」について総務部長交渉を実施。自治労連は、平均で2%の賃下げ(高齢層では4%の引き下げ)になる「見直し」は生計費の重大な削減であり、地域手当がない市町にあっては県人勧に基づく措置(水準調整)で埋めるよう提案してきました。
 組合の「水準調整を行うことの理解でいいか」の問いかけに対して、当局は、「水準調整は必要であると判断している。国人勧にも地域手当だけでは対応できない場合には「水準調整」を認める旨の内容がある。水準調整は地域手当(3%)の率にはならないが、どれくらいなら妥当なのか、県内各市の状況などの情報も得て決めていくことになる。周辺自治体が地域手当の支給地域の中、なぜ近江八幡市は非支給地なのか、と納得できない思いでいる。私たちも組合員との思いを共有している」と立場を明らかにしました。

団結強める新春旗開き

栗東市職

 栗東市職は1月15日、恒例の「あけおめパーティー」(旗開き)を開催しました。
 秋季年末確定闘争の粘り強い交渉の末勝ち取った成果を共有するとともに、青年部によるご当地クイズなどを交え、終始和やかな雰囲気の中で「総合的見直し」に対する闘いなど当面の課題克服のために「団結」を誓い合いました。

近江八幡市職

 近江八幡市職員組合は1月9日、2015年の旗びらきを行いました。東秀一委員長があいさつに立ち、自治労連の旗を掲げて5年目を迎え組合が果たしてきた役割について重要な闘いで新風を吹き込んでいるとのべ、年初からは「給与制度の総合的見直し」の交渉が控えているとして組合が団結して臨むことを提起しました。
 来賓には松本利寛(元滋賀自治労連委員長)氏があいさつました。

日野町職労

 日野町職員労働組合は1月21日、2015年『新春旗びらき』を開催しました。各職場の切実な思いと要求実現に向けた強い意志を決意表明に込め、2015年もみんなで要求、みんなで行動、みんなで実現を合言葉に一致団結、がんばります。
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すべての労働者の賃上げで生活改善を

 15春闘は、すべての労働者の賃上げにより、日本経済・国民生活の改善を実現するため、公務と民間が力を合わせる闘いとなります。春闘要求の前進へ、職場や地域で声を拡げましょう。

15年度国予算の焦点 地方財政

 新年度の国の地方財政対策は、一般財源総額を前年度比2%増としました。地方財政計画に「まち・ひと・しごと創世事業費」として1兆円を計上。算定基準には職員の給与減や民間委託などの「行革努力」を含める、地方介入の不当な基準となっています。
 老朽化した公共施設の集約や転用、解体のため「公共施設等最適化事業費」一千億円を創設。厳しい地方財政を支える面もありますが、施設の統廃合が推進される危険性があります。
 3月に策定される公立病院改革ガイドライン関係では、運営費に対する交付税の算定基礎を許可病床数から稼働病床数に変更。人員不足の中過酷な勤務態勢に拍車をかけることになりかねません。

格差拡大は成長にマイナス OECD

 経済開発協力機構が昨年12月に発表した報告書が注目されています。格差が広がると、低所得家庭の子が教育の機会を奪われ、貧困から抜け出せない社会になり成長が阻害されるとしています。日本ではこの20年間の成長率が17.5%が、格差の拡大が無ければさらに+5.6%の成長が可能であったとしています。

県民要求実現へ春の総行動
「再稼働容認できる環境にない」知事

 1月28日(水)、滋賀自治労連も参加する県民要求実現実行委員会は、「春の総行動」で県当局と交渉をおこないました。この取り組みは、11月の自治体キャラバンの延長線上として、12月に実施する個人請願総行動での諸要求に対して、県当局が回答する形で例年実施されています。今回は意思統一を図る全体集会に50人超が参加し、その後は各分野・課題ごとに2会場に分かれて意見交換等を行いました。
 滋賀自治労連は、昨年12月の「総行動」で原発再稼働反対等の請願を行っていましたので、知事直轄部門の回答を受けるA会場に参加しました。この問題への当局の回答によると、「知事は、再稼働は容認できる環境にないと言っている」とのことでした。また、昨年のあいば野の訓練時に確認できなかったオスプレイの飛行ルートについては、「飛行ルートの事前確認、訓練の内容の確認を求めていく」としました。その他、新年度中に全小中学校の35人学級の完成を目指したいとするなど、一定の前進回答が見られました。

みんなの声

◎執行部の方を中心に交渉していただき、様々な労働条件の改善につながったことは、本当にうれしく思います。ありがとうございました。「数は力」ということで、一人でも組合員が増えるように呼びかけていこうと考えます。
 森田照美(大津市労連)
◎長男が今春小学校を卒業します。入学式では、名前を呼ばれても返事もできず、泣いて泣いて大変でした。これから大丈夫かしらと心配しましたが、たくましく、大きく、しっかりと育ってくれました。卒業式で大きな返事を聞けることを楽しみにしています。
 水口静子(大津市労連)
◎年末年始に雪寒待機された方々、お疲れ様でした。冬はまだ続きますが、体調を崩されませんように。
西本新(滋賀県職)
◎戦後70年、節目の年といわれます。安倍暴走政権の「壊憲」路線を許さず、憲法9条を守り抜き、新たな「戦後」をつくらせないようにがんばります。
 川嶋重信(大津市労連)

訃報

 滋賀自治労連・副委員長(前委員長)の今村伸治氏が1月13日、逝去されましたので、ここに謹んでお知らせいたします。享年61歳。
 故今村氏は、豊郷町に就職して間もなく仲間と共に労働組合を結成して以降、95年に滋賀自治労連の書記長に就任し県内自治体労働運動の第一人者としてご活躍頂くと共に、07年には滋賀県労連の事務局長となり、県下の労働組合運動全体の要の役割を果たして頂きました。
 自治体労働者の要求実現と地方自治の発展、戦争のない平和で、すべての働く人々の幸せを実現するための運動を力強く牽引頂き、豊郷小学校旧校舎の保存をはじめ数々の成果を残して頂いたご功績に敬意を表し、ご冥福をお祈りいたします。