しがの仲間 223号

国押しつけの賃下げに要求と怒り結集したたかう
地方自治侵害にNO!


 各単組では、政府の地方交付税・地方公務員給与の削減要請にもとづく労使交渉が行われ、大津市を除きほぼ収束(6月25日時点)となっています。今回の削減要請に対しては、地方6団体がそろって地方自治侵害などとして反発したものであり、各単組交渉では、こうした点とともに地域経済への影響、さらに大観制度やこれまでの独自カットなどが問題となりました。
 滋賀自治労連は、単組段階の交渉強化をはかるとともに県や市・町村会、県下全首長への申入れ、知事や大津市長宛ての団体署名を民間労組の他、協同組合や商店街などを回り取り組みました。
 民間労組、商工団体、商店街など幅広い団体から「公務員賃金の切下げは経済を疲弊させ、民間賃金にも悪影響」、「不況で大変なのに、賃下げでは商売がいっそうやりにくくなる」などの声が寄せられ、交渉時には、こうした地域の声が、賃下げの理不尽さを指摘する上で大きな力となりました。

一時金削減などは撤回 削減せずで労使合意(豊郷)

 ラス指数をもとに国が求めた月例給の賃下げは、当初提案に比べ削減率の縮減などを引きだした単組もありましたが、基本的に受け入れざるをえませんでした。国の地方自治侵害に対して、豊郷町職労の交渉で伊藤定勉町長は、「国は今回の措置で、交付税を引き下げるが、もともと給与の低い時に交付税を引き上げてくれることもない。6月議会には国要請の議案は出さない。交付税減収は困るが、減収分は、業務改善などで克服するよう職員も努力してほしい」と回答し妥結しました。
 また未妥結の大津市労連を除く県職をはじめ全単組が、12月一時金(ボーナス)の一割削減を「削減なし」としました。月例給の削減率にともなう地域手当、時間外手当の反映についても、多くの単組が「反映しない」形で妥結しました。広域行政組合の彦根愛知犬上職労は、現業職員の賃下げ率を彦根市に比べ1%縮小し、地域手当と時間外手当についても彦根市と異なり「反映しない」の回答を引きだしています。
 こうした闘いの到達点の要因は、国の道理のない賃下げ攻撃に対して、「国の要請だから仕方ない」、「公務員バッシングがあるから」といって諦めるのではなく、全組合員の要求と怒りの結集、何よりも地方自治と地域経済を守る大義を正面に据えて奮闘したことをあげることができます。
現業評が給食交流
 滋賀自治労連・現業評議会は6月8日、4月から日野中学校で自校直営方式の給食が始まった日野町で交流会を開催しました。滋賀県職、自治労連近江八幡市職、日野町職労、豊郷町職労より学校給食調理員ら11人が参加し、職場の状況などを意見交流。新設された日野中学校の調理施設の見学も行うなど、とても有意義な交流会になりました。

暴走!アベノミクスにストップを!
公務員賃下げと連動する「正社員」改革


 安倍内閣のアベノミクスの3本の矢は、すでに「金融政策」と「財政出動」を放っていますが、金融政策では「投機とバブルで物価をつり上げ」、財政出動では「バラマキ復活で借金の山」をつくっています。そして再び、株価が下落し円高が進んでいます。この中でアベノミクスは3本目の矢として「成長戦略」を出してきましたが、その特徴は、経済成長のために大企業がいっそう自由に経済活動しやすい環境をつくるというものです。具体的には「正社員改革」を法律改定によっておこなうもので、「名ばかり正社員」「解雇の自由化」「サービス残業の合法化」を狙っています。これまでの正社員を「地域限定社員」「職務限定社員」「任期限定社員」などとして、正社員の非正規化を狙っています。

賃下げ後は消費税増税


 アベノミクスは、3本の矢にとどまりません。今回の地方公務員の賃下げを露払いに消費税の大増税が予定されています(来年4月から8%、再来年10月から10%)。また、医療費窓口負担の値上げ、年金支給額の削減、介護の負担増などの社会保障の大改悪も予定されています。
 消費税増税の一方で、大資産家の株の譲渡と配当の税率は20%から10%となり、法人税が減税され、自民党は参院選公約でいっそうの法人税減税を打ち出しています。税金は、内部留保(資産・貯金)を260兆円まで貯めこんできた大企業や、アベノミクスによる投機で大もうけした富裕層から徴収すべきです。

消費税増税の根拠は崩れる


-------------------- 2面 -----------------------
道州制でシンポ

 滋賀自治労連は、滋賀自治体問題研究所、滋賀県職との共催で6月8日、大津市内で、自公政権下で急浮上している道州制の問題について考える学習討論集会を開催しました。岡田知弘京都大学教授の「都道府県の役割と道州制」と題した基調講演に続いて、8人から県政の各分野において県が果たしている役割、道州制の問題について報告が行われました。
 岡田教授は、「都道府県があるからこそ、比較的狭い領域内での地域間不均等の是正、流域行政、さらに小規模市町村の補完を、広域自治体がなしうる。道州制になれば、大都市とその他の農山漁村との間の格差が拡大し、国土保全もできなくなり、大都市そのものの持続可能性が失われる。」と、都道府県の存在意義、道州制の問題を指摘しました。
 また、各分野の報告を通じて、教育、福祉、農業、地域経済、琵琶湖問題等、滋賀ならではという課題や特徴、原発立地地域に近接しているという特性とともに県の存在意義が改めて明確になりました。さらに町村会の立場から報告をした藤澤日野町長は、政治の中身がまちがっているのに、道州制という仕組みの問題に燻小化しようとしていると道州制の動きを批判。関西2府4県をまとめた道州制となると、負担は高く、サービスは低くなって平準化し、それぞれの県の独自性といったものが失われてしまうという問題も確認されました。

県職・県職労連の潮干狩り

 滋賀県職員組合・県職労連では、恒例の潮干狩りを6月9日(日)に三重県津市の御殿場浜で開催しました。家族を含め80名を超える参加者は、梅雨入りにもかかわらず曇り空となった絶好のコンディションのなかで、スタートの合園とともに一斉に砂のなかのアサリを探し当て、用意した網袋を一杯にしました。
 その後は、海辺の心地よい風の中で、休憩所で思い思いに昼ご飯をとったり、海で遊んだりと、楽しい休日を過ごしました。

自治体共闘保育部会総会で学習会

 6月22日(土)午後、自治体共闘保育連絡会は草津市内で総会を開催。保育士ら約30人が参加・交流しました。毎年恒例の情勢学習では、今年は福祉保育労滋賀支部書記長の清水俊朗氏を講師に、幼保一体化の問題点などについて学習しました。
 清水氏は、アベノミクス第一の矢(成長戦晴)は、保育を公的福祉や教育を充実させる立場ではなく、あくまで産業(企業)を成長させることに重点を置いた中身であることや、新体系で想定されている「認定こども園」の中でも「地方裁量型」は基準が自治体任せであり、かつ企業参入も容易であることなどから、こども園化させない(するにしても住民参加で慎重に進める)運動が重要になるとしました。

働く女性のつどい

 6月8日、9日、大阪市ドーンセンターで開催された、自治体ではたらく女性の全国交流集会。全国から約750人の参加で盛り上がりました。参加したみなさんから寄せられた感想の一部を紹介します。
 8日におこなわれた都留民子さんの記念講演「失業しても幸せになれる国フランス、貧困は自己責任の日本」はまさに「目からうろこ」でした。フランスでは生活保護を受給することは、「よりよい生活設計のための当然の権利である。」ということに私たち日本人にはない発想だと驚きました。そして、あの第二次世界大戦のさなか、イギリスやフランスは国民の幸せな生活、自由を保証するための政策を考えていたという事実にもびっくりしました。そして、今の日本の労働組合運動も、目先の賃金労働条件闘争にのみ囚われていてはいけないことも痛感しました。「真の社会保障≠ノなり得ていない日本の社会保障制度」や「資本主義の延命策(業績主義)に成り下がっていること」や「弱者救済という誤認」などの問題にメスを入れる労働組合運動の視点が必要だと思いました。
(大津市労連 竹中さん)
 9日の石川康弘さんの講座「憲法・TPP・安保…日本の未来はどうなる?どうする?」では、憲法改正に向け不穏な機運が高まっている昨今、テレビ、新聞に限らず、いろんなものから情報を得て、その内容をしっかり学習していかなければならないと思いました。また、その馬鹿げた草案の中味を広く、多くの人たちに伝えるようにしたいと思います。
(大津市労連 岡崎さん)