しがの仲間 199号

復興は雇用と最賃引き上げで
2011年夏季闘争勝利をめざす5・25中央行動
公務員賃金カットの撤回を!!

 全労連が主催する「2011年夏季闘争勝利5・25中央行動」が5月25日開催され、全国から一二〇〇人を超える官民の労働者が国会周辺に集まりました。滋賀自治労連からも7人が参加し、職場の声、仲間の声、住民の声をぶつけてきました。
 各省庁に対する要求行動では、午前11時から始まった第一弾で国の責任による被災地復興や原発被害者の救援、原子力行政の転換などを求めて財務省と経済産業省に迫り、正午から始った第二弾では、最低賃金改善や全ての労働者の賃上げによる景気回復、公務員賃金の引き下げ阻止などを求めて厚生労働省と総務省に迫りました。
 日比谷野外音楽堂での総決起集会では、宮城・福島・岩手の被災地3県の労働者代表から現地の現状と課題や決意表明があり、大きな連帯と共闘の拍手に包まれました。また、自治労連の柴田副委員長は、大きな被害を受けた岩手県の陸前高田市職労が「住民のために、住民とともに」をスローガンに掲げ、昼夜を分かたず復旧・復興に取り組んでいると報告しました。これらの発言を受けて、主催者からも、「復興に向けて、国に対して仕事や雇用の確保を求めるとともに、公務員の賃金カットの撤回や、最低賃金の大幅引き上げなど、まともに生活できる賃金確保に向けて全力で闘う」ことが提起されました。
 国会議員要請では、色とりどりの幟を掲げた全国の労働者たちが国会周辺をデモ行進しました。滋賀自治労連は参議院議員10人を二手に分かれて訪ね、労働基本権回復署名や最賃国会請願署名などの要請を行いました。

解説 震災復興、労働協約権とは別の貸下げ

 菅内閣は、5月13日の閣議で、「俸給・ボーナスの1割カットを基本とする国家公務員給与の引き下げ」の方針を決定しています。この方針は、民主党政権が2009年の総選挙のマニフェストでかかげた「公務員総人件費2割削減」の達成とともに、昨年の民主党代表選挙での菅首相の公約だった「人事院勧告を上回る給与の引き下げ」にもとづいて、昨年来、政府部内で検討されてきたものです。
 すでに、連合・公務員連絡会との交渉では、「10%から5%の賃金・ボーナスの削減」に「僅か10日間で合意」し、6月上旬にも、労働協約締結権の回復を図る「公務員制度改革法案」と一体に「賃金カットの法案」を、国会提出するとしています。
 一方、全労連・公務部会並びに国公労連、自治労連は、到底受け入れられるものではなく、労働協約締結権と引き替えるものでもないとの立場から大臣交渉などを続け、闘争本部の設置、国会の最終版を目指して、6月の初句からの座り込み行動などを予定しています。

「人勧」廃止後も見据えた賃下げ提案

 政府の「賃金カット」提案は、3年という時限措置で提案されています。この「3年間のカット」という提案は、人事院勧告制度が「廃止」された後の労使交渉を見据えての賃金削減といえます。
 3年が経過して、「元の水準に戻せ」という人事院勧告制度が存在しないことを想定し、引き下げた水準を固定化する方向で自律的労使交渉をスタートさせるという、「人事院勧告」廃止後を見据えて賃金引き下げを固定化する狙いをもっています。

民間も含めた「賃下げのスパイラル」に

 大震災による直接の解雇の増大、震災と計画停電・電力不足の景気悪化、など景気の後退が深刻な中での公務員の「給与・ボーナスの1割カット」は、官・民あわせた「賃下げのスパイラル」を加速しかねない問題です。既にYAHOO!ニュースが指摘するように観光産業や中小製造現場では、賃下げ圧力が強まり、国家が、「賃下げのゴーサイン」を出すことによって「賃下げのスパイラル」のスイッチを押すことになります。
 国家公務員の賃金引き下げは、地方公務員や教職員、医療・福祉など、公務・公共関連労働者の賃下げとも連動し、さらには、民間労働者の賃金にも影響をおよぼすこととなります。
 労働総研が、公務員人件費は626万人もの労働者に影響を与えており、「10%の賃金削減」により家計消費の減少額は約2兆6千億円、国内生産の減少額で約5兆8500億円、GDPの減少額で約3兆円、税収の減少額が約5400億円となると試算しています。
 いま、東日本大震災が日本経済や国民生活に打撃をあたえているもとで、賃下げは個人消費を冷え込ませ、景気をさらに悪化させることとなります。労働者の賃上げと雇用確保による景気回復こそ必要です。

「子ども子育て新システム」とは何か

 政府は、一時中断していた新(保育)システム関連法案を国会上程する作業を再開します。新システムでは、保育所と幼稚園を一体化して「こども園」を作るのですが、仕組みは「介護保険」制度に似たようなものになっています。
 新システムでは、これまで行政が保育に責任を持っていた仕組みがなくなります。保育所利用は、施設と保護者の直接契約となり、
保育料も直接施設に払います。保育の必要性によって、利用する時間数を決めます。介護保険の要介護みたいなものです。
 保護者が支払う保育料は
「応能負担」ではなく、保育サービスに連動する「応益負担」となります。認定時間を越えた分は、自己負担であり、保育料が払えなければ受けられる保育が限
定され、退園を迫られることにもなります。保育を、社会保障制度として国と自治体が責任を持つ、これまでのシステムを守る運動が必要です。
 学習会への参加を呼びかけています

滋賀自治体共闘自治労連関係が学習会
日付 2011年6月11日
時間 14:50〜16:00
場所 草津まちづくりセンター3階
講師 藤井 伸生(ふじいのぶお)

    華頂短期大学教授・京都保育運動連絡会会長・大阪自治体問題研究所理事

脱・原発求め昼デモ

 滋賀自治労連も参加する県民要求実現実行委員会主催の脱原発を 訴える昼休みデモが、5月31日に行われ、約80人がJ R膳所駅か ら関西電力滋賀支店まで「原発をやめよ」「自然エネルギーに切り変 えよ」とシュプレヒコールし、通行人からも激励が寄せられました。
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陸前高田市でボランティアがんばる

市職員の4分の1が津波に

 岩手県陸前高田市は大津波で市街地はほぼ壊滅しました。市役所庁舎は破壊され、市職員293人のうち68人(4分の1)が死亡・不明となりました。被害は甚大で、行政機能が十分でない陸前高田市に、自治労連は岩手県被災者支援センターを設置し、4月22日からボランティアを受け入れています。連日、40人から50人のボランティアが泊りながら、被災者支援活動をしています。5月21日の土曜日は82名のボランティアが集まりました。

滋賀も奮闘

 滋賀県からは5月17日から栗東文体労組など2人、19日から栗東市職5人、21日から県職3人、22日から日野町職労3人が陸前高田市の支援活動に入りました。津波で瓦礫が散乱し、床下までヘドロが入った家の掃除です。電気も水道も復旧していない中で、瓦礫を片付け、床板を外し、床下からヘドロをかき出す作業です。栗東市職、日野町職労の男性は床下の泥をかき出す作業を、泥まみれになりながらがんばりました。
 県職の女性は津波で泥にまみれた皿を、冷たい山の水で洗う作業をしました。
皿を洗う横のタライの中には、津波で海から流されてきたカレイがいました。庭の溝を掃除していたときに発見されました。地元の新聞に、泥水のなかで2ケ月半生き延びた「ど根性カレイ」と載ったそうです。
 陸前高田市ボランティアセンターの資材貸し出しや交通整理の仕事も自治労連が担っています。県職のメンバーが朝7時30分から夕方の4時30分まで資材の貸し出しやパンク修理などをしました。土曜と日曜日はボランティアが多くて大変です。

市の広報配布も

 電話、電気などが不通のもとで、市の広報「りくぜんたかた臨時号」は市と住民を結ぶ大切なパイプ役です。日曜日、月曜日を除く毎日、広報が発行されています。広報を朝6時から市職労事務所で印刷し、市内の105人の区長さんに届ける仕事も自治労連のボランティアが担っています。9コースに分けて、不慣れな土地で区長宅を訪ね、広報を届け、市への要望や困っていることを聞いています。「遠い所からありがとう」「よくやってくれる」「本当に助かる」など感謝の声を励みに、自治労連のボランティアはがんばっています。

滋賀自治労連の突撃インタビュー

西原 亮(にしはら りょう)
栗東市文化体育振興事業団職員。入庁9年目。現在は、体育振興課職員として、市民体育館で卓球やテニスの教室の企画運営を担当。大好物はタイ料理で、特に辛酸っぱいところや香草がたまらないとのこと

Q 組合に入って良かったと思うことは?
 実は、私の最初の職場は栗東芸術文化会館さきらでした。大学では芸術専攻で舞台の勉強をしましたので、とてもやりがいを実感して働いていました。正直なところ、当時は何も分からず、ただ先輩に誘われるままに組合に加入しました。だから、労働組合の値打ちはよく分かりませんでした。「さきら」での雇用問題が起こったとき、組合があって本当に良かったと息いました。個人では、どうしようもなかったと思います。組合があったからこそ採るべき行動が分かり、今も続けて働けていると思います。

Q 指定管理者制度について、思うことは?
 なくなるべき制度じゃないでしょうか?もちろん、この制度のすべてを否定するつもりはありませんが、公共の施設を民間に任せて利益を出して行くようなやり方は、単に行政がお荷物を地域にリリースしているだけにしか思えません。百歩譲って、この制度を残して行くような場合でも、「これだけあげるから後は宜しく」的な丸投げではなく、行政がしっかりと責任を持って、担い手となる事業者を育てることが必要でしょうね。

Q 仕事のやりがいは?
 担当するクラスの生徒さんが、出来なかったことを出来るようになったときは、やっぱり最高に嬉しいですね!(笑)特に、子どもはぐんぐん上達して、習得が早と思います。また、やったことのない子どもにやらせてあげるのも大の楽しみです。一方、年輩の方でも、最初はレンタル物で時間つぶし程度に参加される方が多いのですが、段々とのめり込んでいって、マイ・ラケットや本格的な服装で参加するようになる方も少なくありません。生きがいや楽しみに繋がっているのが嬉しいです。

Q 栗東文体の長所は?
 イメージとして堅いかも知れませんが、みんなが喋り易いことです。普通に働いているだけなら、職場もバラバラでみんなとは年に一回程度しか会わないのですが、組合があるおかげで何でも気軽に喋り合えます。組合が職場のみんなを繋いでいると実感しています。

みんなの声

◎もうすぐ住民健診がはじまります。今年は職場でピンクのTシャツをつくって「検診を受けよう!」と呼びかけています。受診率アップをめざしてファイト!!
山中和美(日野町職労)
◎東日本大震災などの出来事もあり、組合の役割はこれまで以上に大きくなると思います。
  辻賢一郎(滋賀県職)
◎休日はサッカーで子どもたちと楽しい時を過ごしています。子どもたちと触れ合いながら、日頃の運動不足の解消をしています。
 溝井英真(自治労連近江八幡市職)
◎新年度が始まり一ケ月が経ちました。毎日がドラマの連続。怒涛の日々です。
  園松尚子(粟東市職)
◎4月より新卒採用の方がたくさん入られ、またまた知らないナースが増えました。
小池多美子(大津市労連)
◎5月1日に大阪に出かけて、たくさんの人々がメーデーで集まっている姿を見ました。組合の意義なるものを改めて考えさせられた日となりました。
前川由佳(粟東社協職組)