しがの仲間 195号
政府 「公務員制度改革素案」示す

「労働協約締結権」生かす組合運動を

 公務員の「労働基本権の回復」問題について検討してきた、政府の公務員制度改革推進本部が、昨年12月に「自立的労使関係制度に関する改革素案(たたき台)」を示し、公務員の賃金・労働条件の決定システムの「改革」の方向を明らかにしました。
 この「改革素案」の提示は、「公務員の労働基本権を制約している日本の公務員制度は、ILO条約に違反している」とのILO(国際労働機関)の再三にわたる勧告を受けてのものですが、労働基本権の内、労働協約締結権の回復は明示したものの、争議権については引き続き制約すると言う国際労働基準から見て不十分なものとなっています。
 しかし、政府は、この「改革素案」を基に公務員制度改革を進めようとしており、「改革素案」の問題点を明らかにすると共に、今後の労働組合のあり方についても真剣に議論を進めていくことが重要となっています。

「人事院勧告制度」を廃止 今後は労使交渉へ

 この改革素案に沿った制度「改正」は、現在の地方公営企業等の労働組合に関する法律」にほぼ沿った制度「改正」となると考えられ、人事院や人事委員会による「勧告制度」が廃しされ、さらに第三者機関が賃金交渉での「一定の指標」を示す仕組みも設けないため、労使双方が民間の賃金水準を調査・把握し労使交渉を通じて「給与を決定」する仕組みにする方向です。このため労働組合としての調査能力(民間企業や他の自治体の状況把握)が求められるとともに、労働組合としての給与制度や労働条件に関わる政策能力の強化が益々重要となります。

「協約締結権」を生かせる組合運動の強化を

 給与制度を始め勤務条件に関わる事項が、組合との交渉を通じて決定され、決定した事項を「労働協約」として労使が協定を締結する仕組みとなり、この協定の内容が組合員・職員の労働条件となることから、組合の交渉力量の向上と、交渉で要求を前進させる組合の組織的な拡大・強化が重要な課題となります。

ILO勧告の実施を迫り 職場で学習活動を強めよう

 このように、給与や労働条件の決定のシステムが大きく変わり、労働組合の力量が直接、賃金・労働条件に大きな影響をあたえることから、政府に「ILO勧告」に沿った改革を強く迫ると共に、制度「改正」に関わる学習活動を各単組・職場で旺盛に進める必要があります。滋賀自治労連でも2月には「公務員制度改革と労働基本権」問題での学習会の開催を計画します。

2011国民春闘へ滋賀県共闘会議を結成
賃上げと雇用確保 大企業の利潤還流を

 春闘県共闘会議準備会と滋賀県労連が呼びかけた「2011滋賀春闘討論集会と国民春闘滋賀県共闘会議発足総会」が1月22日、大津市内で開かれました。
 この開催を呼びかけた四氏を代表して挨拶した松本利寛滋賀自治労連委員長は、「リコールに関連した阿久根市長選や、名古屋市長選では市民と市職員の対立をあおっているが、これは春闘で公務と民間の分断・対立を狙う財界と同じ手法だ」「景気回復へ内需(消費)拡大が求められている。賃金引き上げ、中小自営業者の仕事確保が誰の目からみても明らかとなっている」「その金は大企業が貯め増す内部留保の一部を社会に還流させれば可能」として、賃金引き上げ、雇用確保のたたかいを『民間と公務の共同』で大きく広げようと呼びかけました。
 討論では、ダイハツディーゼル労組、JMIU草津電機労組、大津日赤労組、福祉保育労組、県労連一般労組などから組合員要求をもとにした要求額をかかげた春闘や、有期雇用に反対するたたかいの発言がありました。滋賀自治労連の代表は、自治体職場で増える非正規雇用をなくし働き甲斐のある雇用確保の必要性、「構造改革」路線への回帰である「地域主権改革」の流れをやめさせ、暮らしと住民自治を守る決意を表明しました。

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菅内閣「公務員の給与カット法案」を提出!

 政府は、今開催中の通常国会に国家公務員の給与削減法案を提出しようとしています。人事院勧告制度を無視して、使用者・政府が一方的に「給与カット」を行うというものです。同時に総務省は、地方公務員も含めた公務員の人件費総額の削減を推し進める目的をもって、給与のみならず、退職手当や共済年金等を含む人件費総額の削減を進めることを明らかにしています。また、「給与カット」法案に引き続き、退職手当や共済制度の「改悪法案」を随時提出すると表明しています。政府は、「給与カット法案」提出を「極めて異例の措置」としていますが、労働基本権を制約した「代償措置」としての人事院勧告制度を、政府自らが無視する違憲・違法な措置と言わなければなりません。この間の地方自治体の「独自カット」について、多くの人事委員会が、「公務員の給与決定システム」から逸脱するものであること表明し、「速やかに本来の水準に戻すべき」との勧告・報告を行っていますが、政府自らが違憲・違法な状況をつくるもので許されません。民間の労働者が、「賃上げで景気回復を行え」というスローガンを掲げてスタートを切っている11年春闘にも大きな悪影響を及ぼすもので、こうした「改悪」が強行されれば、地域経済への打撃は図りしれません。滋賀自治労連は、各自治体・人事委員会へ「給与カットを行うな」の申し入れを行うと共に、政府に向けた取り組を強めたいと思います。

滋賀自治労連突撃インタビュー

種村善之(たねむら よしゆき)33歳。 東近江市在住。日野町役場・建設計画課。入庁10年目。一男一女の父。趣味はアウトドア系。最近、クロスバイクを購入。県内の色々な場所を廻ってみたい。   今回は、09年6月の「おきプロ」において、滋賀自治労連の実行委員長として奮闘し、参加した青年たちをグイグイ引っ張ってプロジェクトを大成功に導いてくれた、日野町職の種村善之さんに突撃して来ました。平和問題や公務員制度改革問題などについても意識が高く、後輩たちを兄貴目線で思い遣る好青年です。

Q.「おきプロで」一番苦労したことは?
 当初、本当にこの企画が成功するのか、このまま委員長を引き受けて大丈夫なのか、とても心配していました。事前に参加者で仲良くなりたいと考えて計画したプレ企画も、インフルエンザの影響で会場が使用出来ず、中止になりました。また、全国実行委員会に何度か参加しましたが、他府県の参加人数、あるいはプレ企画の盛大さを聞いて焦りが募りました。しかし、滋賀では、「みんなで出来ることをボチボチやって行こう」と励まし合いながら頑張りました。最終的に30人近い参加者が集まり、メンバーのポテンシャルの高さを実感しました。

Q.日野町職労の良いところは?
 日野町では、管理職以外はみんな組合に参加しています。そのため、組合の役職を経験する機会が沢山あり、何事も受け身ではなく、主体的に問題を考えて行動している感じがします。一致団結して、みんながまとまっていることが、胸を張って自慢できるところです。

Q.今後、滋賀自治労連でやってみたいことは?
 おきプロを経験して感じたのですが、講演とかで話を聞くのではなく、実際に現地に出向いて肌で感じると全然インパクトが違いました。このような機会を、次回の本部の企画を待つのではなく、滋賀独自の企画として立ち上げ、みんなで創って行きたいですね。

みんなの声

◎先日、ある講座で知り合いになった71歳の女性から、数独の問題を渡されました。いつも自分で作って解いておられるとのこと。私も負けていられません。
   (甲斐とし江・県職)
◎若者に働く場を、正規が当たり前の社会をめざしましょう。
   (藤居千代・日野町職労)
◎手入れの行き届かない我が家の庭を眺めるのはあきらめて、お隣の美しい庭で、四季を楽しませてもらっています。家の庭はいっそのこと畑にしようかなぁ。
   (淵上真理子・大津市労連)
◎我が家の愛犬が老いてきた。子犬の時と同じくらい、世話がいるようになりました。あと何年一緒にいられるかな。
   (森等・大津市労連)
◎我が家のテレビもようやく地デジ化しましたが、支払いのアテにしていたボーナスも減額。いっそう苦しい台所事情です。
   (近藤博次・県職)
◎やっとこ地デジテレビに変えました。エコポイントギリギリ。(汗)やっぱり画像は美しいですね。
   (いまいあゆみ・県職)