人間らしく働ける社会へ「変革」の年に

                               滋賀県自治体労働組合総連合 執行委員長 松本 利寛

 組合員の皆さん新年明けましておめでとうございます。本年も滋賀自治労連の運動に大きな支援をお願い申し上げます。
 さて、昨年以来、アメリカのサブプライムローンの破綻に端を発した「カジノ経済」の崩壊が深刻な世界同時不況となって広まり、派遣労働者や期間工社員に対する「派遣切り」や「雇い止め解雇」がすさまじい勢いで進められ、住む所すら追い出されるという悲惨な事態が強行されています。
 まさに、昨年ベストセラーとなった小林多喜二の「蟹工船」の時代の労働者と同じような「働かせ方」を迫る大企業のあり方が、大きな社会問題となっています。
 昨年末には、東京の日比谷公園に、全労連を始めとした労働組合の努力と多くのボランティアの協力、さらに全国からの救援物資に支えられ「年越し派遣村」が開設されました。
 「派遣村」の状況が、年末・年始にかけて大きく報道され、職を失った多くの労働者に対する国や自治体の緊急の対策を求める運動も大きく広がっています。
 私たち、滋賀自治労連も1月16日に、滋賀県知事に「深刻な雇用と地域経済に対する緊急の施策の実施を求める」要請を行いました。
 失業者に対する雇用の確保はもち論、住居の確保や当面する生活基盤の確保のための「生活保護制度」の活用、さらには、適切な医療を確保できる「健康保険」の制度適用など、生活の基本が確保できるきめ細かな対策と、その利用を保障する総合的な相談体制の整備を求めました。
 今年の春闘は、こうした大企業の身勝手な「派遣切り」など雇用破壊を許さず、景気の回復に欠かせない内需の拡大のためにも、大企業が膨大にため込む内部留
保や株主への高額配当を労働者の雇用確保や賃上げにまわせという国民世論を広げる春闘を進めたいと考えます。
 また同時に、今年は総選挙の年です。派遣法の抜本改正など誰もが「人間らしく働き人間らしい暮らしが成り立つ社会」に向けて政治を変える年として奮闘する決意です。    二〇〇九年一月

解雇で会社へ支払い命令 大津地裁
労働審判で全面勝利 青年ユニオンの青年

 青年ユニオンに加入する青年(26歳)が、淡海マリーナ(有)に昨年7月に年休を要求し、団体交渉を申入れた途端に解雇された事件の第3回目の労働審判審査が12月16日に行われ、和解交渉を拒否した会社に対して、大津地裁は、解雇は不当として275万円の支払いを命じる組合側の全面勝利の決定をしました。
 これを受けて当日の夕方は、青年ユニオンの仲間が組合事務所に集まり、担当弁護士の報告などを聞いて勝利を喜び合いました。
 しかし会社側は、労働審判の決定を不服として12月末に大津地裁に控訴したため、今度は本裁判として争われることになりました。
青年は、不当な会社側の控訴に対して「不当解雇は、はっきりしています。働く者の環境を良くするために引き続きがんばる」と決意を込めています。
 また今回の解雇事件は、会社側が青年ユニオンの交渉申し入れを拒否していることから、県労働委員会で「不当労働行為」事件としても審査がされており、滋賀自治労連としても青年ユニオンの上部団体として、裁判勝利と早期解決へ全力をあげることにしています。

大企業の派遣切り許すな 県に緊急対策を申し入れ

 滋賀自治労連は1月16日、県知事に対して緊急の雇用対策の申し入れを行ないました。申し入れは、派遣・期間工の解雇をやめるよう大企業への監視・指導を強めること。特に、雇用労働者の拡大を目的にした「企業誘致補助金」を交付した企業などについては、助成金の返還など一定のペナルティ措置も含めた強力な指導を実施すること。など14項目からなっています。(申し入れ書は滋賀自治労連のホームページで見ることができます) 応対した、商工観光労働部の緊急雇用対策室長は、県として昨年末に知事と滋賀労働局長の連名で県内100人以上の従業員をかかえる企業に対して、雇用確保の要請書を出している取り組みなどを説明しました。
 県内の派遣社員の「派遣切り」や期間工の「解雇」は、日本電気硝子の県内4工場での600人をはじめ、村田製作所やブリジストンタイヤ、フジテック、ヤンマー、キヤノン、三菱自動車、ダイハツ工業、パナソニック、NECなど昨年以来すでに3000人以上に達し、下請け・関連会社における解雇や「派遣切り」などを含めると更に深刻な事態となっています。これらの中には、派遣契約期間途中の解約や2重・3重の派遣、さらには3年を超える派遣契約など派遣法に違反するケースが多数存在しています。
 今回の申し入れは、こうした事態を放置するなら今後も非正規労働者のみならず多くの労働者の雇用が奪われることとなり、地域経済にいっそうの疲弊をもたらし景気悪化を更に深刻なものとするため、雇用確保、「内需」を中心とした循環型の地域経済を促進することを求めたものです。
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栗東市の財政問題 非正規の待遇改善で県自治振興課長と交渉

 滋賀自治労連は12月17日、県自治振興課長と交渉を行ないました。
 交渉では最初に、栗東市の財政危機に対する県としての対応について、姿勢を質しました。
 栗東市職からは、委員長ら5人が出席し、「栗東市の財政危機は市の責任であるが、当面の土地開発公社に係る47億円の財源不足の要因には、県が新幹線新駅建設で後押しした責任がある。また、赤字で再建団体になれば夕張市のように職員だけでなく住民犠牲が避けられない。県として、県民に責任を負う立場から再建団体転落を避ける特別の手立てが必要ではないか」などの要旨で、県の具体的な対応を要求しました。しかし、県は今日の場では個別の話はできないとしたため、滋賀自治労連として再度の話し合いの場を求めました。
 また、貧困と格差が社会問題となるなか、市町に雇用される「官製ワーキングプア」といわれる非正規労働者について、08人事院勧告の指針で通勤費や一時金支給などで改善が示された問題について、県は「指針は参考として市町におろした。改善へ努力してほしい」などと答えました。
 他に、指定管理者制度の入札で、人件費が引き下げられる問題や、退職債の許可にあたって国がラスパイレス指数の引き下げを条件にしていることについて、自治振興課が職員の暮らしと地方自治を守る立場に立って対処するよう求めました。

自治体共闘が役員会総会

 滋賀自治体労働組合共闘会議は1月16日、草津市内で09年度の総会を聞き、活動報告、09年度方針などを決めました。
(新三役)
議長・藤田雅也(草津市労連)、副議長・山本等(大津市労連)、事務局長・小川治彦(滋賀自治労連)

おきなわプロジェク

 おきなわプロジェクトは、これからの自治労連をになう青年の意見をより多く取り入れることを目的に、全国実行委員会の他に、各県本部で実行委員会を結成し、会場となる沖縄での行動や交流を自主運営することになっています。
 滋賀では、1月13日に青年部が集まり、「おきプロ」実行委員会をスタートさせました。
 実行委員会では、企画にあたり、より多くの意見と参加者をつくろうと呼びかけています。

みんなの声

◎温かいなべ料理の季節がやってきました。寒い夜には、もってこいの料理です。あなたはどんな鍋が好きですか?
 (山本茂夫・日野町職労)
◎お正月は、家族そろってお料理を食べました。健康に感謝して今年もがんばります。
  (土屋朋子・要東市職)
◎この正月に以前住んでいた茨城県の小学校の同窓会に行ってきます。約18年ぶりの再開を楽しみにしています。
   (逢坂隆史・県職)
◎労働者にとって厳しい年になりそうですね。我が子は大学3年生、就活もそろそろですがどうなることやら。すべての労働者が安心して働けるように組合活動の原点をみつめなおさないと・・
(岡崎由美子・大津市労連)