173号

住民主体の村づくり 長野県あち村を視察 町村職部会で

 滋賀自治労連の町村職部会が12月12日〜13日、日野町職労・安土町職・豊郷町職労から10人の参加で、長野県阿智村を訪れ交流しました。阿智村は「第2回小さくても輝く自治体フォーラム」(03年9月)の会場となった村で、昼神温泉でも知られています。同村では今久官主村職委員長、林協働活動推進課長ら3人の方が、職員の賃金労働条件、集落を基礎にした地域再生と自律の村づくりをめざす「集落計画」を中心に説明してくれました。

「集落計画」づ<り

 「集落計画」は、村内の52集落に必ず職員が⊥人か2人の担当を決め、3カ月に一度発行される村の広報を持って集落に入り、村の状況や住民の要望・要求を聞き、一緒に考える中で集落の将来について実効できる計画を村の計画とリンクさせてつくるというものです。これによって、住民のみなさん個々に、集落に住みつづけてもらい、持続的な自立する村づくりをめざしています。
 そして、「集落計画」票を見せてもらうと、最初の「今はこんな集落です」という項目では、「人口がへる一方」「集まりや行事には決まった人しかこない」「空家がある」「孫にもっと遊びにきてほしい」などの例文が並んでいます。それをもとに、「こうしていきます」という項目では、「空家を利用した交流拠点つくり」「孫向け農村体験を企画」「新たな定住者の獲得」など問題を解決するための方針を決めるようになっています。

住民参加の仕組み

 今久留主村職委員長は、「最初、集落計画づくりの趣旨を理解できなかったが、集落に足をはこぶ中で集落に人がすまなければ村がなくなり自分たちの仕事もなくなる。村の基礎は集落にあることがわかった」と語りました。また林協働活動推進課長は、「集落計画つくりは、住民に強制はしません。住民自身が自分の意志で決めることを大切にしています。計画をつくらず集落がなくなっても住民の判断ですから仕方ありません。集落に住みつづけてもらうには、個々の生活設計や人生設計が前提にあり、村としては集落計画をつくることを通して村の政策と住民の暮らしをマッチさせることを大切にしている」と強調しました。
 ここで驚いたのは、村の予算の算出根拠や運営方針が、詳細に記述された「事業等計画書」が全戸に配布されていることです。一般の市町村では、議員に対してもこれほど詳細な資料は配布されていないといえるものです。最初に「事業等計画書」を全戸に配布したときは、議員から「議員への説明前に住民に配布するのは、議会軽視」という声もあったようですが、「村民が村のことを理解して議員に要望すれば、議員はもっと村に対して政策提言できるわけです」(今久留主村職委員長)と明快でした。

どこまでも住民主体

 いま、「総務省は市町村合併を推進する方針を見直し、『平成の大合併』を打ち切る方向で検討に入った。合併が想定以上に進んだことや、周辺地域の衰退など合併の弊害が各地で見られるようになったため」(毎日新聞・11月18日付)という報道がされています。
 あらためて『平成の大合併』は何だったのか!との思いがめぐりますが、阿智村との交流をとおして、国の都合による方針に振り回されず、限界集落をかかえながらも、いつまでも住み続けられる「住民主体で持続可能な発展の村をめざす」阿智村のしたたかで力強い村づくりに刺激を受け励まされました。そして、その村づくりの一角に「住民の繁栄なくして自治体労働者の幸せなし」をモットーにする自治労連阿智村職があることを同じ仲間として嬉しく息いました。 (今村)

県社協の「雇い止め解雇」和解が成立

 今年3月、滋賀県社会福祉協議会に働く2人の嘱託職員に対して、県社協が「雇い止め」解雇を突然通告しました。2名の職員の方は、「雇い止め解雇は納得出来ない」と県職員組合に相談があり、社協の福祉保育労働組合とともに「雇い止め解雇」の撤回を求めて交渉を進めてきました。
 4月に⊥名の嘱託職員の方については再採用の道を開いたものの、採用⊥年目の嘱託職員の方については「担当する事業がなくなった」として雇い止めを強行し、その後、新たな嘱託職員を募集・採用しました。
 このため「雇い止め解雇」は不当であるとして裁判所に「労働審判」を求めてきましたが、今回、裁判所から実質的な和解勧告があり、これを双方受入れ裁判所外で「和解」が成立しました。
 和解の内容は、@職員が退職したことを確認のうえ県社会福祉協議会は、職員に対して解決金を支払う。A職員は「労働審判」を取り下げる。と言うものです。県職員組合は、今回の和解にあたって、改めて県関連職場で働く臨時・嘱託職員のみなさんの「労働基準法」を無視した一方的な「雇い止め解雇」が行われないよう日頃からの運動を強めたいとしています。

2面に解説 臨時・嘱託職員の一方的な「雇い止め解雇」は違法である

--------------------------------- 2面 ----------------------------------

栗東市職 財政危機回避で労使合意
財政再建と人件費削減問題

 栗東市職員組合の市財政再建と職員賃金をめぐる交渉が続けられてきましたが、12月8日に全組合員集会が⊥00人を超える参加で開かれ妥結の方向が確認されました。
確認内容は、「財政再生団体」転落への可能性回避のため、人件費独自削減「本給H21・H22年度のみ実施。係長・主幹5%、主査4%、主事・主事補3%削減」を止む無く合意。地域手当・休暇の見直しについては今後協議することとなっています。

市長が集会で挨拶

 今回の組合員集会には園松市長が出席し、「47億円の貸付をあやまれは財政再生団体になる可能性がある。危機的状況を乗り越えるには職員の理解と協力がなければ到底乗り越えられない。この責任は職員にはない。人件費削減への協力は、職員組合の苦渋の選択であることを認識し、課題に全力で取り組みたい。(中晴)財政再構築プログラム素案の広報について、人件費削減項目を職員組合と相談なしに掲載したことは、このプログラム全体を市民に速く理解していただくために掲載した。職員にこの意義を伝える配慮をするべきであったと反省している。今後はできる限り労使合意に努め広く意見交換の場を持ちたい」との挨拶がありました。

自治研活動を推進

 職員組合は、この間、人件費削減組合員緊急アンケートなどで意見集約などをはかり、「財政再構築プログラム」の策定された経過や手法などが、現場の職員意見を反映していないばかりか、市の将来のまちづくりさえ示されておらず、お金がないから一律カットという財政再構築プログラムは、到底理解できるものではないとの立場を明らかにしています。
 今後、職員組合で立ち上げた「民営化等問題対策部会」・「財政問題対策部会」で組合員の意見や、上部団体・有識者の支援を受けながら、自治研活動として検討を進めるとともに、08人事院勧告の勤務時間短縮をはじめ、現給料表へ移行後の部内均衡など賃金・手当・休暇制度について協議を進めるとしています。
 あわせて、財政再構築プログラムについては、一方的に推し進めず労使協議を約束したことを踏まえ、責任所在の明確化を求め交渉協議を行うことにしています。

自治体関連職場に働く、臨時・嘱託労働者の一方的な解雇は違法です

 今、自治体関連職場で働く嘱託職員や臨時職員が、「雇い止め」と称して一方的に解雇される事件が各地で起きています。こうした解雇は、多くの場合、自治体に働く臨時・嘱託職員に適用される地方公務員法上の「任用行為」の延長線上にあるとの錯覚から関連職場の臨時・嘱託職員の一方的な解雇につながっていることが多数見られます。
 しかし、自治体関連職場の雇用期限のある臨時・非常勤職員の場合も、「解雇」に当たっては労働基準法や労働組合法が全面的に適用され、当然に、使用者に、@解雇の理由が合理的か、A解雇の回避の努力が尽くされたか、B解雇者の選定が合理的か、C労働組合との十分な協議等、解雇手続きが妥当か、の「整理解雇の四要件」が適用され、「四要件」が満たされない限り解雇は無効となります。また、「就業規則(嘱託設置要綱などと定めることが多い)」に、一年の有期雇用を繰り返し更新制限を明記したとしても、その業務を存続させ、解雇と併せて新たな採用を募集するなどの行為は「整理解雇四要件」を逸脱することとなり、違法な解雇となります。
 また、本年四月から施行された「パート労働法」や「労働基準法」は、有期雇用であったとしても、継続的な雇用を努力義務として課しています。
最近の社会情勢は、自治体関連職場の臨時・非常勤職員の雇用や労働条件の改善が強く求められており、ましてや労働法規を逸脱する「解雇Iを強要してはならない情勢です。

みんなの声

◎日が暮れるのがとても早い今日この頃。日野においても各家々にイルミネーションをされている家が多く美しく明るいです。
         藤居千代(日野町職労)
◎11月の末に来年の県民手帳が届きました。新しい手帳を手にするとワクワクしますね。
         奥谷隆信(高島市職労)
◎スタッフ全員がご利用者のことを考え、日々、明るく生活していただけるよう考えて工夫しています。
         山中正子(県職)
◎先日、「ハッピーフライト」という映画をみてきました。空港で働く人たちは華やかと思っていましたが、大変な仕事なんだなとつくづく息いました。
         島村一哉(大津市労連)