格差広げる「官から民へ」の流れから住民の暮らし守る運動を

滋賀自治労連第35回定期大会

 滋賀自治労連は9月28日、野洲市内で第35回定期大会を開きました。大会では、自治体労働者や住民の暮らしを破壊する「自治体構造改革」を許さず、地方自治と平和憲法を守る取り組みなど2006年度運動方針と、松本利寛新委員長らの役員体制を決めました。また、新組合として「東近江市ユニオン」の滋賀自治労連加入を承認しました。
 方針等への討論では8単組9人が発言。東近江市ユニオンの代議員からは、単組結成の決意と「職場ビラ配布などに管理職からも共感が寄せられている。試行が検討されている人事考課制度では、賃金への反映は問題があることを申し入れている」ことなどの報告がありました。 県職の高島支部からは、高島市民病院の存続運動について、栗東文体からは、「栗東市の民営化を考える交流集会」の取り組み結果と、関連労働者のなかでの組織拡大の必要性などの発言がありました。
 また大会の時間を利用して、「成果主義」問題と大阪府下のたたかいについて大阪自治労連の猿橋氏から、「教育基本法」改悪問題について、滋賀県高等学校教職員組合の杉原氏から、それぞれ講演をいただき学習を深めました。

辻さんから松本さんへ委員長をバトンタッチ

新任 のあいさつ 松本 利寛

 滋賀自治労連、第35回定期大会で、委員長に選任頂きました。自治体をめぐる激動の時、組合員の皆さんと力を合わせて、住民の暮らしを守り、自治体職員の働きがいが発揮できる「地方自治」を求める運動に全力を投じたいと思います。
 この5年間、前小泉政権が進めた「改革」は「新自由主義」に基づく改革でした。この「新自由」主義という言葉が、何か「新しい自由」をもたらしてくれるかの錯覚を与えてきましたが、「新しい自由」は誰に保障されたのか、この自由が、誰に「不自由」をもたらしたのか、「改革」が進めば進むほどその実態が明らかになっています。
 大手企業は「いざなぎ景気」に次ぐ好景気と言われる一方で、前小泉政権が製造業等への「派遣労働」の規制緩和を進めて以来、時給1000円程、電話一本で毎日の働く場所が異なる「オンコール・ワーカー」、業務が完全に「請負・委託」でありながら現場では派遣労働者として扱われている「偽装請負」などの実態が滋賀でも大きく広がり、早朝の主要ターミナル駅や大手企業の門前に派遣会社のマイクロバスがずらりと並ぶ光景が日常化しました。
 働いても働いても豊かになれない「ワーキングプアー」と言われる大量の労働者にとって、小泉「改革」は、まさに「新しい形の不自由」の強制の始まりとなりました。
 県内の自治体でも「官から民へ」のかけ声のもとで、指定管理者制度の導入によって派遣労働者が公的サービスを担う職場が広がっています。
 こうした中で、トヨタ自動車の下請け企業で働く全労連加入の労働者が「こんな働き方間違っている」と「偽装請負」を社会的に糾弾する運動に立ち上がって以来、ようやく大新聞も告発を始めました。
 労働者の声と要求を大事にする労働組合だからこそ出来た運動であり、全労連が呼びかける「もう一つの日本をめざす」運動の大きな成果です。
 自治労連は、こうした「働き方」を正す運動と共に、「官から民へ」の流れの中で、市民の安全や安心が守られない事態が広がっている実態を告発する「見直そう、問い直そう仕事と住民の安全・安心」の運動を提案しました。
 私たちも、もう一度、日常の仕事を通じ、職場の周りを見渡し「小泉改革」がもたらした社会の歪みや矛盾を正す運動を大きく前進させようではありませんか。

退任 のあいさつ 辻 義則

 9月28日の大会をもって委員長を退任させていただくことになりました。
 長い間、お世話になりありがとうございました。心から感謝申し上げます。「滋賀自治労連」の委員長として、およそ10年間、精一杯奮闘してきたつもりですが、振り返って見れば「何ほどのことを成し得たか」と悔いの残ることばかりのように思えます。  
 びわこ空港から新幹線新駅、そして知事選挙と激しい運動と闘いによって、それなりに足跡は残せたのかと思うものの「公務員攻撃の嵐」の中で「公務労働者の人権や権利」の問題でジリジリと後退を余儀なくされたとの悔いもあります。後を継ぐ人々による「反転攻勢」の日を期待し、次の時代に託したいと思います。
 私自身は、新しいステージで引き続き社会進歩と変革のために人生の歩みを重ねます。そして、それぞれの運動が、いつか「合流」して歴史の歯車を大きく回転させる日がくることは間違いありません。人が人として尊ばれるために明るく・楽しく・元気に歩み続けます。「人一倍、人生を楽しみ、人一倍、闘い・運動する」人間であり続けたいと思います。ありがとうございました。

秋季年末期のたたかいへ06年統一要求書を提出

 滋賀自治労連は、10月13日に自治体労働者と関連労働者の賃金、労働条件や地方自治に関わる知事宛の要求書を自治振興課に提出しました。提出にあたり松本委員長は、市町職員の賃金や財政状況について、国や県による従来以上の「介入」問題に触れ、改善への申し入れなどをしました。自治振興課長との交渉は、11月16日に行われます。

県への個人請願総行動  今年は11月16日(木)

 日本国憲法と請願法による県への「個人請願」行動は、今年で6回目を迎えます。毎年、「個人請願」行動は県民の声を直接届け、少しずつですが県政を変える力になっています。

12時15分に県庁前集合・デモ
13時30分より「請願行動」
会場:滋賀県農業共済会館

------------- 2面 ------------------

教育基本法を守ろう 子どもの未来が危ない

 教育基本法改悪に反対する10・7県民集会が7日(土)に大津市内の公園で開かれ、約800人が参加しました。集会は、名古屋大学の植田健男教授が「いま、子どもたちの未来が危ない!もしも教育基本法が改悪されたら」と題して講演したのをはじめ、保護者や教師、学生、宗教者らがリレートークで、それぞれの立場から教育基本法を守る意味と、今後の運動への決意や訴えを行ないました。この集会には、滋賀自治労連からも約70人が参加しました。今号では、教育基本法改悪の問題点と運動についての寄稿を掲載します。

「教育基本法改悪の問題点と運動」について  滋賀高教組書記長 杉 原 秀 典

「私が目指す美しい日本。教育の目的は、志ある国民を育て品格ある国家をつくること」「教育基本法を変えます」。10月29日、なりたての安倍首相が気持ちを高ぶらせます。教基法をどう変え、何をねらっているのか。
まず、育てるべき人間の姿イメージを変えています。
 安倍さんは「教基法に義務や公という概念ないから問題が起こっている」と言います。しかし、いまの教基法には、ウソでなく本当のこと、働くことや責任を大事にし、自分の頭で考えて、平和な社会をつくる。そういう立派な人間を育てよう、と書いてあります。誰しもが認める日本人の心です。安倍さんの「公」は「みんな」という意味ではありません。
 改定案では、大事な教育の目的を抜き去り20の徳目を入れました。その柱が「公共の精神」や「我が国と郷土を愛する態度」です。みんな、びわ湖や郷土を大切に思っています。しかし、改定案の「公共・国・郷土」は、私たちの思いとは違います。「戦争する国」や「格差社会」をつくる政府の思いを押し付ける道具です。
 大体、やりたい放題のホリエモンを誉めあげ、アメリカ言いなりの安倍さんに、モラルや「公」や愛国心を語る資格はありません。
2つは、国がやるべき事を投げ捨てています。第4条の「9年の普通教育」を削ってしまったのです。また、立命館などが私学が小学校を開設し、滋賀では小中一貫校の研究が始まりました。安倍さんは学校選択制や教育バウチャー制度をと叫びます。
 小学校の学区を取り払い競争させ、入学者が多い学校には公立でも私立でも沢山のお金を渡し、そうでない学校には渡さない。このやり方で、イギリスでは100以上の学校が潰されました。
 東京では3つの学校で1年生が0人です。結局、子どもは小学校への入学を競わされます。「お金持ちの子」は小中高大一貫の私立小学校へ、「優秀な子」は小中一貫校の小学校へ、「残りの子」は小学校で終わる小学校へ。京都経済の同友会は「義務教育は12歳で打ち止めにしたい」と言い切ります。
3つ、何をするのかしないのか、その権利を政府に与えています。第10条の「国民に直接に責任を負う」を削ったのです。これまでは、国民や現場の声を聞いて学校を建てたり、どの教科書を使うのかを決めてきました。改定案では、「つくる会」教科書の押し付けも自由になります。
 高教組は50校の校長を訪問し対話が弾みました。「教基法は大事だ。改定案が出た時、現行法との対比を朝の打ち合わせで配布した」「変な目標が押し付けられたら困る」。これが多くの校長の声でした。10月7日、なぎさ公園に800人が集まりました。たたかいはこれからです。 

みんなの声

◎忙しいけど、クイズに取り組むひととき“無”になります。
                         (溝口孝子・県職)
◎お家の事情で年度途中ですが2歳の娘を保育園へ預けることに。嫌がることなく毎日元気に通う姿に一安心しています。
                         (近藤博次・県職)
◎季節は忘れずにめぐってきます。梨、ぶどう、柿のおいしい季節、これからが楽しみです。
                         (松田みどり・県職)
◎映画が大好き!予告編、新聞等で次に行く映画を決めています。話題の映画ももちろん参考にしていますが、この映画を選ぶ基準ってあるのですか?
                         (井上明・栗東市職)
◎久々にパズルに取り組みました。いろいろ考えながら頭の体操になります。物忘れが多い自分が心配です・・・。
                         (山中和美・日野町職労)
◎ときどき行く釣りを楽しみにしています。
                         (夏原英男・日野町職労)
◎過ごしやすい秋を向かえ、読書三昧の毎日です。  (岩松豊広・栗東市職)
◎働けど働けど給料は上がらず、福利厚生は縮小され、この先どうなるのでしょう。
                         (佐竹英樹・県職)
◎北海道に自費研修に行ってきました。おいしい物いっぱい食べて「?」帰ってきても味覚の秋でますます「ブーブー」困ってま〜す。
                         (田淵よしみ・大津市労連)
◎8ヶ月になる息子太一の歯が生えてきました。毎日の成長が楽しくて仕方ありません。
                         (村山功・大津市労連)
◎知事が変わり、どう職場が変わっていくか。期待と不安の入り混じるこの頃です。
                         (田中美樹・県職)