自治体問題研究所が06年度定期総会

 自治体問題研究所は9月23日、06年度総会を大津市民活動センターで開催しました。
 総会を前に、「財政学からみた地方自治の現状と課題」について立命館大学平岡和久教授から記念講演がありました。地方財政危機の原因は、国の誘導策による「借金漬け」と償還財源の交付税の削減にあること、06骨太方針による新型交付税・破綻法制が地方債の自由化とあわせて自治体の市場化を本格化させることが明らかにされました。
 総会では、地方自治の危機を整理したうえで、嘉田新県政の動向評価による滋賀の地方自治の確立強化にむけた研究活動強化を決定しました。
 総会は活発な討論がおこなわれ、知事選の滋賀ショックの要因を「無駄遣い県政に対する県民運動の結果、構造改革の痛みに対する批判」とした上で、県政については、新幹線・ダム・ごみでマニュフェストどおりの姿勢はあるが、他は國松県政を踏襲し新自由主義的で、事業仕分けなどで行革を具体化し、障害者自立支援法の国のスタンスは正しいとするなど注視する必要があることが明らかにされました。

市民のみなさんと福祉や文化の民営化で交流

栗東市の民営化を考える交流集会に100人が参加

 滋賀自治労連、栗東市職、同文体事業団職員協、同社協職員団の実行委員会が主催した集会が9月21日、栗東市内の公民館で開かれ、市民のみなさんを含め約100人が参加しました。
 栗東市では、給食の民間委託をはじめ、全国に先がけて幼稚園と保育所の運営と施設を統合する「幼保一元化」が行われています。また4月からは、栗東芸術文化会館さきらが「指定管理者制度」の導入によって、JR子会社へ経営権が移りました。今後は、市が作成した「集中改革プラン」によって、博物館や図書館などに指定管理者制度の拡大が検討されるなど、「官から民へ」の流れが強まろうとしています。
 今回の集会は、こうした問題を現場で働く労働者の立場から報告し、市民のみなさんからも意見を出して頂き、民営化や市民サービスをともに考えていく機会としてもたれました。

職場実態をリアルに報告

 現場で働く労働者の立場からの報告は、文体事業団から「昨年末から年始にかけてのさきらの指定管理者問題で、市民から1万5千筆を超える署名が寄せられた」「指定管理者後の運営では職員の気持ちも複雑」とその後の影響がふれられました。市職の幼保部会の保育士は「幼保一元化」の職場状況について、「仕事に追われ保育士間の連携がとりにくく、代休や有休もとれない」「保育時間は短時間が基本になっているので長時間の子どもは荷物を持って部屋を変わったり、仲のよい友達と一緒にいられない。また、保護者も就労と非就労の層に別れ連携がしづらくなっている」などの問題点が具体的にあげられました。
 社協職場からは、「老人福祉センターは、高齢者福祉、地域福祉を担う公的な存在であり、収益を目的としていないため、市からの予算削減があると運営が困難になり、また安易に利用者負担を増やすとセンター本来の目的が達成できなくなる」との指摘がありました。

講演と市民からの発言

 集会では、龍谷大学法学部の高橋進教授が「『官から民へ』で住民生活はどうなるのか」と題して講演し、文化施設を例に「公的施設は住民自身が運営しようとして、ボランティア参加などが得られ経費節減もできるが、官から民に変わると、住民の中になぜ企業のために協力するのかとのジレンマが生じないか」「民間企業は利潤追求が目的であり福祉や文化分野の行政が効率化だけでよいのか」などの指摘がされました。
 また、会場からは研究者や市民の方からの発言がありました。さきらの指定管理者制度への移行について大学の研究テーマにされた方は、「審議会や議会などで適切な議論がなされたといえるだろうか」と疑問を投げかけ、市内に住み「さきら」の運営に関わってきた方からは、市が発行した資料をもとに「さきらの設置目的は、世界的視野に立ったまちづくり人づくりとあるが、今の状況はどうか」との疑問が出されました。
 最後に講師の高橋進教授は、「さきら問題は民営化の象徴的な出来事だった。しかし、民営化後のあり方を考え、これからは公的施設を市民にとりもどす運動をつくることが大切」と、まとめがありました。

県人事委員会交渉はじまる 「独自カット中止」措置を求める

 地公労三者共闘(県職・全教・高教組)は9月22日、今年度の県人事委員会交渉に向けた事務局長交渉を行いました。
 今年度の賃金改定について、事務局長は「条例上と独自カット後の、両方の公民格差を示す。独自カットは遺憾であるといわざるを得ない」と回答しましたが、「遺憾と言うだけではすまされない。争議権剥奪の代償としての責任を果たすべき」と強くもとめました。また、調査対象の企業規模については、国準拠という以外に何ひとつ説明できないまま「国と同様に50人以上に引き下げるのが適当」とし、引き下げ効果について「一定の賃金抑制効果があると認識している」などとしました。
 県人事委員会に対しての県職の「独自カット中止」にむけた実効ある措置要求と、調査対象の企業規模の引き下げは認められないとする問題は、市町職員や地域経済にも影響する重大な課題です。 滋賀自治労連は、単組・職場での人勧学習会を重視し、当面、民間労組等に呼びかけた県人事委員会への団体署名運動をすすめます。県人事委員会勧告は、10月中旬の予定です。

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保育に企業参加が本格化

「認定こども園」で県へ要望書を提出し懇談

 「認定こども園」制度が10月1日より施行されることに伴い、県では認定基準を定める条例の制定が検討されています。滋賀自治労連・滋賀県職・滋賀保育運動連絡会・全国福祉保育労働組合滋賀支部の四者は、9月6日に連名で知事に対して「認定こども園の条例化に関する要望書」を提出し、担当の子ども家庭課長らと懇談しました。
 要望書では「認定こども園」制度は、保育事業での自治体の公的責任をなくし、逆に保育をビジネスとする企業参入が本格化するとして、子どもの最善の利益を保障し公的保育制度の解体を許さない取り組みを県に求めています。そして、@条例の10月施行を先送りし慎重審議すること A県民参加の策定委員会設置と民主的協議の場の設定 B基本理念として子どもの権利条約の原則を明記することを柱に、保育環境の改善など詳細基準を提案しています。

保育所の実態に即した改善を

 懇談の中で課長は、@に対して10月施行は困難、Aに対しては、今回の制度は国準拠が前提であり策定委員会等の設置の必要があるのかを含め検討中であると答えました。また、「認定こども園」の認定基準については、現行の保育所や幼稚園の認可基準を適用し、水準を引き下げることはしないとしました。
 参加者からは、現在の認可施設が「認定こども園」に移行する恐れがあるのではないか。保育所と幼稚園が統合して「認定こども園」がつくられるケースも計画されているが、その際の施設基準は保育所と幼稚園のどちらの基準が適用されるのかなどの質問がだされました。これに対して、現行の認可施設の「認定こども園」への移行は、現状では利点がないので想定できないとしましたが、保育所と幼稚園の統合ケースによる施設基準などへの影響については、想定外の部分もあり論議を深める必要がありました。また、現在のたいへんな保育所現場の実態について、課長からは現場の状況に制度が追いついていないとの認識が示されました。
 県の「認定こども園」条例化に向けた私たちの今後の運動としては、条例化にあたって国準拠の枠にとどまろうとする県の姿勢から、子どもの豊かな成長や保育士の働きがいなどが得られる環境作りへ転換されるよう、粘り強く要望し展望を開くことが必要となっています。

岐阜県庁の裏金問題

 岐阜県庁の裏金問題で次から次と明らかになる事実には驚くばかりです。17億円もの「裏金」も元を正せば全部県民が納めた税金です。「カラ出張」などで「裏金」を造り出しては職員同士の飲み食いからゴルフなどの遊興費までに使われていたというものです。その額も「ケタ違い」です。
 しかも、この事件は県庁の労働組合がこれに加担していたと言うことも重大です。この労使一体による犯罪を行ってきたのは「連合・自治労」でした。過去には北海道でも「自治労」が同様の犯罪をおかしていたこともありました。
 もはや、「自治労」の労使一体ぶりと「裏金」づくりは全国共通の常習犯とも言うべきものです。職員の中から「これはおかしい」と思っても自由に発言ができない、発言すれば、その職員を守るべき労働組合が当局と一体となって「抑圧」するという仕組みの中で生まれた「県庁ぐるみ」の犯罪です。
 労働組合などが職場の健全な批判者として存在することが、職場の民主主義を守る力となることは明らかです。だからこそ、「住民奉仕」を掲げる私たち「自治労連」が存在するかどうかが職場の民主主義を守り、こんな犯罪を生み出さないためにも大切なのです。

みんなの声

◎クロスワードパズルが好きなので解くのを楽しみにしています。
(加茂紀代美・県職)
◎今年も収穫時期が来ました。秋闘も実りあるものにしたいですね〜。
(森なつき・日野町職労)
◎今年度リフレッシュ休暇をもらいました。ずっと夢だったエジプトに行くことにしました。とても楽しみです。
(笹尾麻美子・県職)
◎2月に生まれた6ヶ月の息子がハイハイするようになりました。子供の成長の早さにびっくりしています。
(村山功・大津市労連)
◎2歳の子とプールへ。何十年かぶりに50mプールを泳いだら息が切れて切れて・・・小学生のときは何往復もできたのに。自分の年齢を感じました。
(中島真介・大津市労連)