栗東市 指定管理者制度で芸化術会文館

「さきら」を民営化

文化体育振興事業団職員を事実上の「解雇」

 栗東市は、指定管理者制度の導入により、栗東芸術文化会館(さきら)の運営管理を来年4月から、これまでの栗東市設置の栗東市文化体育振興事業団に変って、JR子会社(株・ジェイアール西日本総合ビルサービス)に移行する民営化を決め、その契約議案を12月議会に提案しています。事業団が、来年4月から文化芸術会館の仕事をはずされると、職員の仕事がなくなり当然のことながら解雇問題が出てきます。
 これに対して、滋賀自治労連と栗東市文化体育振興事業団職員協議会(労働組合)は、指定管理者制度を利用した「民営化」は市の民間企業への文化振興事業の丸投げであり、それにともなう職員解雇は許せないと、市民にも呼びかけてこれまでどおり事業団による芸術文化会館の管理運営を求めてたたかっています。
 12月1日には、職員協議会が11月中旬からの半月余りで集めた事業団運営を続けるよう求める市長宛の要望書署名6182筆を提出。文化団体などからも民営化中止を求める要望書などが出され運動が広がっています。

事業団職員の尊厳を踏みにじる「民営化」

 栗東市文化体育振興事業団は、25年前に民間活力の導入と安定した運営を目的に、市の第三セクターとして設立され職員も民間会社の経験者が含まれており、現在は、「芸術文化会館」や「市民体育館」、「出土文化財センター」などの業務を、市からの委託料や補助金などをもとに運営される公共性の高い団体です。
 ところが、「官から民」という一面的な間違った流れの中で、指定管理者制度の導入によって、突然に職場を追われ不当な解雇予告のもとで、これまでの仕事に対する誇りさえ奪われようとしています。
 文化や体育の振興事業は、形で表せない分、経験の積み重ねや継続性が大切ですが、今回の民営化を決めた選定会議では、充分な時間をとって審議された形跡はなく、整合性をもった資料比較がされず、表面的な「安ければよい」というモノサシだけで決められています。
 これまで職員は、限られた予算でも事業効果を大きくするために頑張ってきました。それだけに、これまでの助役や教育長、部長など市幹部に対する民営化問題での訴えでは、「文化や体育の振興事業をどう考えているのか」「市長はどうして私たちと会わないの」と涙ながらに訴える場面もしばしばです。

実質雇用主として「市長は交渉に応じよ」

 事業団職員協議会は、これまで、直接の雇用主である事業団理事長と、事業団の設置者として実質的な雇用主である市長に交渉を申し入れてきました。
 ところが、事業団の理事長は「民営化」による解雇問題が発生してからは団体交渉の中で「これまで事業団の運営に対して鉛筆一本まで市は管理してきた。実質雇用主は市長」と言い、栗東市長は「雇用主は事業団理事長であり市は関係ない」として話し合いにさえ応じません。
 職員協議会は、こうしたもとで、これまでの事業団理事長らの責任を追及するとともに、市長に対しては「一度も話し合いにも応じることなく首切りとは何事か」と、駅頭や全戸配布による市民宣伝とともに、市役所前での職員への呼びかけ、市長室前での交渉待機行動や、地方労働委員会に対する「あっ旋」申請も行ないたたかっています。

民間会社への丸投げは市民への「背任行為」

 来年4月からの民営化が行なわれる栗東芸術文化会館は、鳴り物入りで市費を101億円もかけて6年前に建設したばかりの建物です。市長は、「聖域なく指定管理者制度を導入する」(12月市議会)と発言していますが、その実態は、芸文会館についてみると、今回の民営化後の5年間だけでも25億円の借金返済を栗東市は行ないながら、1円のお金も出資していない民間会社に5年間で10億円の委託料(事実上の運転資金)を支払い、市民らの利用によって生じる利潤は、まるまる民間会社に提供しようというものです。
 しかも市が指定管理者に選定した民間会社である(株)ジェイアール西日本総合ビルサービスの業務は、警備、清掃、施設管理が主であり、従業員は派遣労働者が中心になり、継続的な芸術文化振興が担えません。また、指定管理者の公募申請の内容も、興行のチケット販売収入を目一杯計上するなどしており、目先の収益が確保できる事業が優先される恐れがあります。市民の中からも、営利企業に芸術文化会館の管理運営が委託されると、市民が被る文化事業の被害は、金銭価値に換えられない大きなものになるという声がでています。
 職員協議会はこうしたことから、市が行なおうとしている芸術文化会館の民営化は、市民に対する背任行為だとして、市民とともに民営化による10億円の委託料の差し止めを求める住民監査請求を11月30日に行なっています。

今年で5回目 県への個人請願行動に70人が参加

 県に対する請願法にもとづく個人請願行動が、11月30日に行なわれました。一人ひとりが請願書を読み上げて県の担当者に手渡しましたが、滋賀自治労連関係では、「栗東文化芸術会館さきらの職員解雇問題で市長が団体交渉に応じるよう指導を」(事業団職員協議会)、「外郭団体職員の雇用確保、図書館に指定管理者制度を導入しないこと」(安土町職)、「県による自律の町づくり支援を」(日野町職労)、「三位一体改革で国に意見を」(県職)が請願しました。この請願にもとづく県交渉は来年2月に予定しています。

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05賃金確定や年末要求で交渉

 05人事院勧告は、今年度の月給を4月に遡り0・36%引き下げるとともに、「評価制度」導入のための50年ぶりという給与構造改革を行ないました。滋賀自治労連は、滋賀県、大津市、栗東市、東近江市、高島市、日野町、安土町、豊郷町、彦根犬上広域行政で市町長を含めた交渉を行ない、自治体一般ユニオンの守山支部や社福労の甲賀社協パートヘルパー支部などでも交渉や要求書提出が取り組まれました。このなかで、県職が地域手当の全県一律7%支給の実現、大津市労連の地域手当10%(18年度は5%)と一般職員の独自カット廃止などの貴重な成果をあげました。
 しかし、来年4月からの新給料表の運用などの問題は、3月議会から4月にかけての問題となっており、年明け早々のたたかいが引き続き重要となっています。

給与構造の改定は市町の自主性を尊重せよ

05秋季年末要求で自治振興課長交渉

 滋賀自治労連は11月17日、2005年秋季年末統一要求書の人事院勧告の内容を中心に、県の自治振興課長に対する交渉を行ないました。その要旨を紹介します。
05人事院勧告について
(滋賀自治労連)05人事院勧告の「給与構造の改革」や、「評価制度」に反対し、自治体と関連労働者の賃金改善をはかること。
(自治振興課)人事院勧告は、地域における民間賃金水準との比較での公務員賃金の適正化、年功序列への懸念などから出されたものであるから、地域手当を含め、国公準拠を基本に市町で条例化すべきもの。また、新たな行革指針をもとにした「集中改革プラン」の今年度中の作成と住民への公表をお願いしている。
(滋賀自治労連)何かにつけて「地方分権」といいながら、国公準拠だけの指導では、自治振興課の意味がなくなる。人事院勧告の地域手当や評価制度に対しては、滋賀自治労連が7月から8月に行った自治体キャラバンにおいても、首長や市町幹部からは問題があるとの発言があった。地域手当の支給率の根拠は、人事院自身がその合理性や、市町ごとの元データーを公表できないでいる。
 また、これまでの調整手当は、各市町が独自に地域の実情から支給率を定めてきた。国が地域手当を指定しない東近江市などが、滋賀にありながら東北地域と同じ賃金水準でよいということにはならないはずだ。今回、県人事委員会や県当局は地域手当については、公務員の「公平取り扱い」の原則などから、県職員への全県一律支給の方針を示している。こうしたことをふまえ、今後各市町の労使で決定することについては、不当な介入などはしないよう申し入れておく。
指定管理者制度について
(滋賀自治労連)制度導入による雇用破壊、賃金改悪などが起こらないよう各市町へ指導すること。
(自治振興課)まずは労使で決めるべきものだが、解決しない問題は事業団等では、設置者の市町との話し合いをすべきだ。その他の課題…「サービス残業」の根絶、労働安全衛生の職場体制確立などでやりとりしました。

05年度フットサル大会 安土町職Aチームが優勝

 大会は、県職・草津・栗東・高島・日野A・日野B・安土A・安土B・橋本(和歌山)の9チームが熱戦を繰り広げました。
優勝 安土町職Aチーム
2位 栗東市職チーム
3位 草津市労連チーム
4位 高島市職労チーム

みんなの声

◎あれもあかん、これもあかんでは、仕事がはかどらない。もっと売店を利用してアメでもなめて、元気で仕事ができるようリラックスが必要。
川崎りせ(県職)
◎10月9日滋賀母親大会に参加しました。イラクでボランティアに参加している高遠菜穂子さんの分科会では、報道されない残虐な映像が映し出され、その暴挙のすさまじさが伝わってきました。
椙本まどか(県職)
◎給料カット、老後の保険料金アップ、この先に光を見いだすには何をすべきか…。
(嶋林幸子・大津市労連)
◎寒くなってきました。身も心もさみしーぃ気分です。
上田文子(日野町職労)