新幹線栗東新駅 建設は「再検討」を

 シンポジウムの第一部は、滋賀自治体問題研究所と滋賀自治労連が、13市町の住民を対象に行った「住民アンケート」結果について、滋賀自治体問題研究所の瓜生昌弘氏(県職副委員長)が報告しました。
 続く第二部では、辻義則委員長(県労連議長)が司会を務め、パネラーとして、公共交通論と街づくりの立場から土居靖範氏(立命大教授)、栗東新駅の費用対効果、経済効果などについて近藤学氏(滋賀大教授)、地元栗東市民の思いと「凍結」を求める運動について玉田實氏(新幹線新駅問題を考える会会長)、また障害者福祉と運動に関わる立場から立岡晄氏(共同作業所全国連絡会理事長)が「栗東新駅ができても現状の福祉水準や施策では障害者は利用できない」など、それぞれの立場からの問題提起がありました。
 そして、会場参加者からも活発な意見がだされ、「新駅計画の地元に住み、これまで用地提供など公共事業に協力してきたが自治会などの声がとどかない」(栗東市・男性)、「新幹線の東海と在来線の西日本は別会社で、米原駅でも乗り換えの接続はうまくいっていない。栗東新駅も同じことで時間的にも便利にならないことは関係者の常識」(JR関係者)、「大津市の中でも栗東に近い瀬田駅で、昨日、朝十時から夕方六時までロングランの独自アンケートを行った。結果は六四四人が投票、新駅賛成は八一人だけで反対が五六三人に上った」(大津市議)、「大津市は20億円の負担が求められているが、市は財政難で高齢者への紙おむつ支給などの打ち切りも検討されている状態、理解は得られない」(大津市・男性)、「住民アンケート結果は甲賀郡内で栗東新駅必要の回答が少し高いが、これは今の草津線が不便であることの反映であり町づくりと一体の公共交通網整備が課題」(滋賀自治体問題研究所会員)など、十四人の方がそれぞれの立場から栗東新駅建設計画がかかえる問題点について発言しました。

「再検討を求める県民の会」が発足

 新幹線「栗東新駅」建設計画の再検討を求める滋賀県民の会(事務局・県労連)が2月14日に発足しました。同会は、2月26日に各団体・地域代表者会議を草津まちづくりセンターで開催し、知事と県議会宛の「再検討」を求める県民十万人署名などを、6月県議会を目標に取り組むことにしています。発足会では代表幹事として、川端俊英(民主県政の会代表委員・同朋大教授)・成瀬龍夫(滋賀大教授)・近藤学(滋賀大教授)・山村美智子(県母親大会会長)・玉田實(栗東・凍結を求める会会長)・辻義則(県労連議長)の各氏を選出しました。

アンケート調査結果の概要
(詳細は関係資料とともに冊子にまとめられています)
@本アンケート調査は、関係13市町の電話帳電子データを用い各市町の字を基本とする居住地から一定比率で三〇〇〇人を抽出し、往復はがきにより依頼した。主な質問項目は、(1)二百四十億円の負担のあり方、(2)新駅の利用可能性、(3)新駅で便利になるか、(4)まちが活性化するか、(5)新駅が必要か、の5点である。
@そのうち、一三三九人から回答が寄せられ、不在返却数87を除くと回収率は46%(栗東市など2市2町では50%を越える)と極めて高い回収率となった。
A7割を超す回答者が、二百四十億円の事業費に対し、JRの負担を求めるべき、または、費用対効果の面から自分が居住している市町が負担することはおかしいと考えており、地元負担は「当然」または「やむを得ない」という人は、2割に満たなかった。
Bまた、7割以上が、新駅の利用のしにくさ等から「全く利用しない」または「ほとんど利用しない」と回答し、「よく利用する」「たまに利用する」の3割弱を大きく上回った。
C「新駅が必要がどうか」という問いに対しては、「不要だ」が、61・2%と、「必要だ」18・6%を大きく上回った。
D市町村別分析の結果、地域的に意識の差があることが明らかになった。すなわち、甲賀町を除く甲賀郡の各町は、新駅が「必要」という意見と「不要」という意見が接近している。これに対して、大津市民は、全く逆の傾向が明瞭であり、新駅「不要」が70%を越えた。地元栗東市においては、「活性化」に対する期待度は相対的に高いという傾向がみられたが、新駅「不要」が「必要」を大きく上回った。草津市、守山市、野洲町、中主町についても、やはり、「不要」が「必要」を大きく上回った。
Eアンケート回答者の半数を超える七〇六名から自由記述回答が寄せられた。新駅必要、不要それぞれの立場からの記述であるが、特徴的なのは、選択回答に表れたJRの負担を求めるものが多数を占めるとともに、各自治体の財政を心配する声も多かった。これは、現在、各自治体が深刻な財政危機に直面しているだけに、従来と同じ考え方で事業を進めることに対する警鐘として真摯に受け止めるべきである。 
                     瓜生 昌弘(滋賀自治体問題研究所)

シンポジウムで活発な討論

 滋賀自治体問題研究所と滋賀自治労連は、新幹線栗東新駅について、関係13市町の住民を対象に昨年末にアンケートを実施しました。これは、2002年4月に関係市町、県とJR東海との間で基本協定が締結され、今年度中に県、栗東市、関係市町の間で二百四十億円の事業費の負担割合が決められようとするなかで、関係市町住民はこの問題をどう考えているのかを把握する目的で行ったものです。
 この報告を兼ねた「新幹線栗東新駅建設計画のあり方を考えるシンポジウム」が、滋賀県労連、滋賀民主県政の会、滋賀自治労連の三者の主催で2月14日、守山市内で開催され予定を超える150人が会場を埋めました。

県民要求実現「2・25春の総行動」へ

 昨年11月19日の「個人請願総行動」に寄せられた要求をもとに、その実現を求める県庁9部局への要求交渉を中心とする県民要求実現「2・25春の総行動」が、県労連、滋賀自治労連、民主団体などの実行委員会主催で行われます。
 要求交渉の対象となる請願内容は、実行委員会で確認されている共通13項目の他、個人と団体の書面請願による73項目に上ります。
 共通13項目では、「自衛隊のイラク派兵に反対を」(対県民文化生活部)、「大企業のリストラを止めさせよ」(対商工観光労働部)、「6歳児までの医療費無料化を」(対健康福祉部)、「35人以下学級の実現を」(対教育委員会)、「新幹線栗東新駅建設計画の凍結を」(対土木交通部)などがあり、自治労連単組からだされた要求では、県職の「ワールド・マスターズ・ゲームズ招致などのムダ使いを止めよ」(対総務部)、日野町職労による「合併の押し付け止めよ」(対総務部)があり、今後の住民運動の重要な課題にもなるものです。
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県下の首長と議会へ緊急要請 とんでもない「三位一体改革」

 政府がすすめる国と地方の税・財源を改革する「三位一体改革」は、昨年末の公立保育所運営費などの国庫補助負担金削減を皮切りに、地方交付税等の削減へと急速に進んでいます。
 中でも地方交付税と臨時財政対策債の削減(前年より2・9兆円、12%減)は、自治体の予算編成に大きな影響を及ぼしています。
 この結果、県では235億円の減額、市町村段階でも(町村レベルで70億円規模…町村会試算)大幅な減額となる見込みです。
 滋賀自治労連は10日、知事、市長会、町村会の三者に対して、「04年度地方財政計画の見直しと、地方交付税削減反対を政府に緊急に強く要望すること」とする要請書を提出しました。また、17日には県内50市町村議会に意見書採択を要請する陳情書を送付し、首長への申し入れも行っていく予定です。
 知事宛の要請書提出にあたり応対した市町村振興課長(国からの天下り)は、「歳入と歳出の関係で不足が出ているが、どれが三位一体改革の部分かわからない(自然減もある)」「国にも事情があってのこと」などと国の不当な「三位一体の改革」による交付税の削減などを弁護し、市町村の財政事情の窮状に無頓着な発言を繰り返しました。
 このため自治労連は「あなたは総務省から給与を貰っているのか?市町村を支援すべき課長の言うことか」と、きびしく批判し、要請趣旨をしっかり受け止め、国にはたらきかけるよう強く申し入れました。

滋賀自治体共闘会議が役員総会
「公の施設の指定管理者制度」で学習と交流

 滋賀県自治体労働組合共闘会議が役員総会を1月21日に草津市内で開催し、03年度の総括とともに、04年度方針と役員を決めました。
 また、総会の前に、自治労連・松本利寛書記次長を講師に市町村合併、地方独立行政法人などと並ぶ「自治体リストラ」のツールである「公の施設の指定管理者制度」問題で学習会を行い、事業団や社会福祉協議会、直営の公立施設における今後の雇用情勢などで討論を行い、たたかいについて交流しました。
【選出された主な役員】
議長・山崎登(草津市労連)
副議長・内田康雄(県職)、服部喜由(大津市労連)、今村伸治(滋賀自治労連)
事務局長・山田善春(大津市労連)
幹事・参加単組の委員長で構成

憲法改悪許すな!「イラク派兵反対」の声を!

 「自衛隊のイラク派兵反対、憲法を守ろう」と訴えて2月11日、県労連、有事法制反対滋賀県連絡会が呼びかけた集会・デモ・宣伝活動など多彩な行動が、大津市、近江八幡市、彦根市、長浜市、安曇川町で展開され、全県で250人が参加し、滋賀自治労連の組合員も各地の行動に参加しました。
 今後の平和行動では、県連絡会による3月20日の全国行動に呼応した全県集会が計画され、主要駅頭での宣伝活動や署名運動の他、3月14日(午前10時より草津市役所横の公園で開催)の04春闘勝利県民集会でも重要な課題として取り上げられます。

単組新役員紹介
(内は大会開催日)
栗東市職員組合(2月5日)
執行委員長 池之  徹
副執行委員長 青木 ひふみ
 同    小林 正 樹
書記長   内藤 寿 光
書記次長  西村 嘉 城

安土町職員組合(1月29日)
執行委員長 北川 幸 宏
副執行委員長 北川 宗 司
書記長   東  秀 一
書記次長  門  幸 宏

安土文芸職員協議会(1月29日)
会 長   西村 よしみ
副会長   谷  恭 子
書記長   北野 亜由美
書記次長  松浦 加 奈