合併問題アンケート42市町村長より回答
国や県の市町村合併押し付けに不安や危惧、本音がよせられる

 滋賀自治労連と滋賀自治体問題研究所は、県下の50市町村長を対象とする「市町村合併に関するアンケート」を11月に郵送により行いました。アンケートの設問は、@合併への賛否A合併への意見B国・県への意見C合併に関する住民投票制度の4項目で、それぞれの設問ごとに具体的記述が出来るようにしました。その結果、アンケートに対する回答が、6市36町村の計42市町村首長(うち5市町は担当課)よりありました。回収率は84%で、この内、回答内容の公表を可とした市町村は19(回答総数の42%)でした。また、アンケートには意見記述が49通よせられ、多くは現在の合併の進め方に危惧を表明するものとなっています。【記事中()内の数字は市町村数】

 @【合併への賛否】
 アンケートでは、「賛成」(20)と「どちらともいえない」(19)の回答が拮抗、「反対」(1)、その他(1)、全体を通しての回答保留(1)でした。
 「どちらともいえない」とした中で、(12)の市町村より具体的な意見が添えられました。特徴的なものとしては、「合併論議は諸についたばかりであり、充分深まっていない。今後議論を重ね検討を加え、住民世論にも意を配しつつ判断を決めたい」(マキノ町長)、「特徴ある国土の保全、発展を望むとき画一的に処理するものでない」(E町長)、「過去の合併事例(稲枝・鳥居本)から学ぶと、地域住民にとって、メリットがなかった」(G町長)、「住民に合併問題についての情報が少なく、現時点では判断するのは困難である。自治体の自立が先であり、画一的な合併構想は理解しがたい」(I町長)など、ほとんどが現在の国や県主導の合併に対して否定的となっています。

 A【合併への意見】
 設問1に関連して「どちらともいえない」とする立場からよせられた上位5つの理由をみると
 ◎市町村が広域で協力し合って行政を進める必要のある分野と地域の実情の違いから、そうでない分野がある。広域行政と合併論が混同されている(11)、◎地域から役場がなくなり、町(村)の過疎化が進み住民にとって不便が増すことが心配である。地域の活性化にはつながらないと思う(9)、◎生活圏域の拡大が言われているが、若者や元気な者の視点であったり、車社会を前提にしたものであって、高齢化社会を前に大規模化、広域化を進めることが良いのか疑問である(8)、◎現在、進められている合併論議は、国・県主導で住民の間にその機運はなく住民不在となっている点が問題である(8)、◎社会的弱者やお年寄りが切り捨てられ過疎地域が切り捨てられるだけにならないのか心配である。市町村行政は自治の機能を損なわない程度の小さい規模(面積・人口)、きめ細かさも大切である(7)など、ここにも不安や危惧が見られます。

自治体労働者として市町村合併をどう考えるか 浅井町長など招きシンポジウム

 自治体労働者としてどう考るかをテーマに滋賀自治労連町村職部会、自治体共闘青年部が主催した、市町村合併問題シンポジウムが十一月二七日、近江八幡市内で開催されました。パネラーには、角川誠浅井町長をはじめ県市町村振興課の中山義彦氏、安土町職員・堤良彦氏をむかえ、辻義則委員長がコーディネーターを務めました.
 シンポジウムでは、主催者を代表して、最初に坂田孝彦町村職部会長(安土町職)が「自治体労勧者にとってさけられない課題になっている。学習や議論を深めていきたい」とあいさつ。続いて、今村伸治県本部書記長がシンポジウムの開催と合わせて進めてきた、県下五〇市町村長への「市町村合併に関するアンケート」について中間集計報告をおこないました.
 その後、シンポジウムに移りましたが、参加者六七人の中には、議員や住民の方の参加も多く関心の高さを示しました。参加者からは、「パネラーの発言等、それぞれの立場からのもので興味深く聞けた」「賛成、反対の意見もわかりやすく、全体として話がかみあい合併の今後の課題も深まったのではなかったか、よかった」などの感想がだされました。

みんなの声

 今年最後の、いや今世紀最後のイベントを開設。一〇周年記念「ツリーのつどい」を県立障害者福祉センターで一二月一七日開催します。障害のある人もない人も楽しめるイベントです。みなさんも来てね〜。
(山戸保宏・滋賀県職)
 話題の映画「ekiden(駅伝)」観てみたいと思っています。
 (久木典子・豊郷町)
 保育士になって○年。楽しい事、つらい事いっぱいあり、我が子に寂しい思いをさせたこともありました。今、小6の娘が将来なりたいものは「保育士」。続けてよかったと思っています。
(深草幸子・栗東町職)

調整手当で「指導」介入に強く抗議不払い残業の実態を示し県市町村振興課に是正措置を求める

 滋賀自治労連は十一月一〇日、二〇〇〇年賃金確定に関する要求書をもとに県市町村振興課長交渉を実施しました。 
 交渉は、二年連続の一時金削減、給与改定見送りの状況を踏まえ、滋賀自治労連として年末賃金確定にのぞむ上での重点要求を柱におこなわれ、県下の市町村行政を指導する県市町村振興課長として、要求に応えることを求めました。
 具体的な要求項目では、調整手当と不払い残業問題で時間をかけたやりとりとなり、要旨は次のとおりです。

調整手当で「指導」する根拠はどこにあるのか
滋賀自治労連
 いまなぜ、栗東町に対して調整手当の見直しを求めているのか。町当局は市にふさわしい行政体制として、見直し理由の一つにしているがそうしたことが関係しているのか。
市町村振興課
 調整手当は、国で支給地域等の見直しがされた。国準拠が基本であるとともに新たな制度化や引き上げは適当でない。 栗東町における調整手当と市政移行は別の問題。行財政の問題として調整手当をどう考えるのかという立場で、国準拠を基本として指導している。
滋賀自治労連
 調整手当で、自治省の「事務次官通達」(72・9・25)は、支給地域を若干変更することも止む得ないとしている。栗東町には、国の機関がなく人事院の支給地域外であり、労使の話し合いで支給の根拠等がつくられ議会での議決を経て制度化されてきた。また、地方公務員法の二四条には国準拠を唯一の基準にせよとは書いていない。いま、なぜ栗東町が5%から3%でなければならないのか。振興課として、どうしてそういう指導をするのか根拠を示せ。「県から言われているので」などと町当局が言っている。「分権の時代」といいながらそんなことで良いのか。「労働組合と十分に話し合うように」との指導こそおこなうべきだ。そのことを要求しておく。

なぜ法律無視の不払い残業が増えるのか
滋賀自治労連
 春にアンケートをとったら六五%の職員が何らかの形で「サービス残業」を告発している。その理由として超勤しても申請すらしないとする回答が四〇%となっている。言わず語らずのシメつけのもとで「自主規制」のような形が広がっていることは問題である。
市町村振興課
 市町村の担当課長会議などを通じ、超勤分母の労基法による改善などを含め指導などしてきた。支給実態は、充分に把握できていないが、命令実施と申請にもとづき支払いがされているものと考えている。
滋賀自治労連
 デスクワークの残業はあってもいっさい認めないという町もある。公務職場でこのようなことがまかりとおれば、地域企業に与える影響も大きい。県市町村振興課として、不払い残業の一掃へ具体的な実効ある措置を強く要求しておく。

「再任用」「市町村合併」県の指導姿勢をただす

 他に、今回の交渉の中で県市町村振興課は、「再任用」問題の実施準備として、県下市町村への必要な情報提供と指導をおこない、定数や職域の問題などでは個別対応をするとしました。また、労使交渉をもとに、国や他の自治体との均衡を失しないようにすべきとしました。
 市町村合併問題については、少子・高齢化、情報化などを理由に、避けられない課題として、進めるにあたっては住民や市町村関係者が自らの責任をもって選択すべきとしました。また、合併にともなう一般職員身分は特例法によって身分が保障され公正がはかられなければならないと見解を述べました。