とんでもない!?本人同意なしで公務員身分剥奪

自治体分社化リストラすすめる「地方独立行政法人法」が可決

 地方公務員の身分が、一瞬にして奪われることが現実となる「地方独立行政法人法」(以下・法律)が、7月の通常国会で自民・公明・保守与党によって強行成立され、来年4月1日より施行されます。国の機関では、国立大学が「国立大学独立法人法」によって、来年4月より法人化されます。そこで働く教職員は、これまでの国家公務員から、民間の労働組合法と労働基準法の全面適用となる「独立行政法人職員」になることが決まっています。

 法律は、地方自治体の業務を「分社化」して「独立行政法人」とする対象について、同法の中で、水道など地方公営企業法適用事業、保育所などの社会福祉事業、さらに公共施設の設置管理などを定め、各地方議会の議決で実施することなどを決めています。
 このなかで、職員の身分保障にかかる最大の特徴は、公務員から民間人となる「法人職員」への移行にあたっては、「本人同意」が必要とされないことです。これまでNTTや野洲町にあるIBMなど民間大企業の社員に対するリストラ・子会社への転籍強要が社会問題となりましたが、民間企業では会社分割法の成立を許したものの労働基準法などによって現企業から他企業への移行は「本人同意」が前提とされてきました。
 ところが、今回の法律では、皮肉にも地方公務員法によって「労働基本権」(交渉権・争議権)が完全保障されていないことを理由にして、移行にともなう公務員の「本人同意」を必要としないとされています。

なぜ、いま自治体分社化か

 当面、「地方独立行政法人」化の最大のターゲットとされる一つが保育所です。これまで、民間委託による合理化攻撃が各地で行われてきましたが、住民運動と共同した自治労連のたたかいや、地方公務員法の身分保障条項などによって阻止し、一部で民営化されても正規職員は他の保育園への異動などで雇用が保障されてきました。
 そのため、当局は合理化策として公立保育所の職員構成を、正規職員を削減して臨時・パート職員で補充してきました。栗東市立の保育所では、すでに臨時・パート保育師が全体の半数を超え、B保育所では正規職員「1」に対して臨時職員「3」近くまでになっていますが、この傾向は、県内の他の自治体でも共通しています。
 今回の法律は、これまでの「正規職員から非正規職員(臨時・嘱託・パート)」へという年数のかかるやり方をやめ、一気に「公務員から民間人」に置き換えるとともに、同時に公務が担うべき本来の業務を「法人化=自治体分社化」として、切りすてることにあります。

背景に財界の21世紀戦略

 地方自治体のなかで臨時・嘱託・パート職員が増えているのは、保育所だけではありません。病院や社会福祉施設はもちろん、本庁職場でも同じです。この土台には、財界が一九九五年に打ち出した「21世紀戦略」があります。「戦略」は、公務・民間を問わず日本のこれまでの「終身雇用制」を廃し、一部幹部職員に年俸制を導入する一方で、他の9割を超える労働者を短期雇用形態に置き換えて、企業にとって都合のよい使い捨てを実現する「流動化」を目的にしています。
 その後、労働法制の改悪が相つぎ、今国会ではサービス残業を合法化する裁量労働制の拡大、有期雇用上限3年、派遣契約上限3年への拡大などの改悪が行われ、公務職場でも「構造改革特区法」の指定をうければ、臨時職員の雇用期限をこれまでの1年から3年にすることができるようにしました。

正規・臨時・パートの連帯が重要に
公務員賃金改善とともに最低賃金法の改正を

 臨時職員の雇用期限が、法律でこれまでの1年から3年に拡大されれば、職場では臨時職員の比重がさらに高まります。また、学卒者などの就職は、3年間は「試用期間」とされる恐れがあります。
 今後、市町村合併によるリストラとともに、「地方独立行政法人法」、「構造改革特区法」が、自治体の雇用関係を一気に変えることになります。
 こうした変化に対応するには、自治体の「分社化」である安易な独立法人化や民営化を許さないたたかいなどとともに、自治体に関係するすべての臨時・パートを対象に、全体の労働条件の向上をはかる活動が重要です。
 当面の課題では、5年連続の年収マイナスとなる人事院勧告を許さない賃金改善のたたかいとともに、すべての労働者の賃金底上げをはかる全国一律最低賃金制の確立や、低賃金の下支えとなっている「地域最賃・時給651円」を大幅に改善させることが重要です。また、定期昇給の廃止、恣意的人事の温床となる公務員制度改革のたたかいも重要です。
 滋賀自治労連は、一層こうしたたたかいを発展させるため、第29回定期大会(9月25日開催)で方針を具体化します。

人勧・公務員制度改革で中央行動

 7月9日、「マイナス人勧」阻止、「公務員制度改革」関連法案に反対する公務労組連絡会の中央行動が行なわれ、国会周辺での総決起集会とデモ、地元議員要請行動などを行ないました。滋賀自治労連からは、大津市労連などから代表3名が参加して人事院総裁宛の賃金改善署名第1次分1700筆余を提出しました。31日には、最終の中央行動が取り組まれます。引き続き、公務員賃金改善署名を至急に集約しましょう。

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自治体共闘保育連絡会が総会

 総会を6月28日に草津市内で開催し、滋賀自治労連特別執行委員の川嶋氏の講演がありました。講演では、保育所をめぐる情勢や地方独立行政法人の問題がふれられ、参加者から「自分たちの身分にかかわることで初めて聞いて驚いた。職場のなかでも学習会ができるようにしたい」などの感想が出ていました。

Peace Wind 8月6日 長浜市役所から県庁へ
「核兵器なくせ!戦争なくせ!」
03年 反核ライダー マラソンランナー募集

 日本を「戦争する国」にしてしまう有事法制の強行や、自衛隊の海外派兵のための「イラク派兵特措法」など、今日ほど平和について考え、その取り組みが必要となっているときはありません。
 こうした中、世界中で広がる『核兵器なくせ』の世論に呼応して、県民の『核兵器廃絶』の世論高揚へと、今年も滋賀反核ライダーとマラソン走者が県内を駆けます。ただいま、参加者を大募集しています。短区間でも結構です。

自治労連と県労連が労働学校開催

 自治労連第8期中央労働学校(6月12〜15日)と滋賀県労連第3回労働大学(7月12〜13日)が開催されました。自治労連の学校に参加した安土町職のペンネーム「にゃん」さんに感想を寄せていただきました。

 自治労連第8期中央労働学校に参加しました。講義は1講座につき約2時間30分で中身の濃いもので、難しいのですが、これからの自治体のあり方、労働者のあり方について勉強できました。講義ですから、本でわからなくても詳しく説明してもらえ、また講師の方が1講義ずつ変わり、話の切り口が違うこともよかったです。内容は、哲学から始まり、賃金や労働の考え方、またこれからの労働組合の方向性に至るまでで、中でも剰余労働による搾取の仕組みなどは身近な賃金の問題で、興味を持って聞くことができました。ただ、こちらの勉強不足でついていけない部分もあるわけで、そのあたりについては、今後の復習や自己学習が求められるわけですが、自分なりに消化し、今後の組合活動に生かせればと考えています。

自治体共闘野球大会 栗東市職が2連覇
全国大会に向けて闘志も新たに

 野球大会は、6チームが参加して7月10〜11日に草津グリーンスタジアムで行なわれました。決勝戦は、栗東市職が最終回の満塁のチャンスに、走者一掃の3塁打などで草津市労連に勝ちました。近畿大会は8月6〜7日に和歌山県で開催されます。栗東市職が全国大会(兵庫県・9月)出場をめざし第1試合は和歌山の新宮市職労と対戦します。