2007年10月9日

   栗東市・さきら不当労働行為事件の和解成立にあたっての見解
                   
                                滋賀県自治体労働組合総連合(滋賀自治労連)
                                栗東市文化体育振興事業団職員協議会

(事件の経過)

 栗東市(國松正一市長)が、雇用問題などで栗東市文化体育振興事業団職員協議会(吉川素子会長)の団体交渉に応じないのは、不当労働行為にあたるとした県労働委員会の決定について、栗東市が中央労働委員会に不服として上告していた事件の和解が10月9日に成立しました。

 和解内容は、@栗東市は次回の指定管理者指定の結果により生ずる事業団職員の雇用問題について、誠意をもって事業団と協議するものとする。A栗東市は、事業団との協議を通じて、職員協議会の意見を聞き、これを尊重する。B栗東市は、前項の事業団との協議の中で、事業団職員の雇用が確保されるよう最大限努力する。の3項目です。

 同事件は、2006年1月に事業団設置者である栗東市が、事業団職員協議会の団体交渉に、応じないのは不当労働行為として職員協議会が県労働委員会に申立し、同年10月31日に同委員会は、「市と事業団職員の間に直接的な雇用関係は認められないが、市は事業団に対して、人事面、財政および業務面において大きな影響力を及ぼしている」として、指定管理者移行時に事業団職員の雇用確保に係る団体交渉に応じなかったのは不当労働行為との認定をしています。

(和解成立について)

 今回の和解について、事業団職員協議会と上部団体の滋賀自治労連は次の見解を表明するものです。
まず、本和解にいたる事件が、栗東市が事業団職員との雇用関係がないとして、同職員協議会との団体交渉はもちろん一切の話し合いも拒否してきた経緯を考えると、県労働委員会の決定の後に、栗東市が中央労働委員会の和解あっ旋を受け入れて職員協議会との和解に調印したことは、この間の労働者側のたたかいの大きな勝利といえます。

 和解は、第1に雇用関係について栗東市と事業団職員との間に、結果として当事者関係が存在することを明確にしました。第2に、間接的にせよ栗東市が事業団職員の雇用責任について「事業団職員の雇用が確保されるよう最大限努力する」として認めたものであり、今後の事業団職員の雇用確保に重要な意味を持つものとなります。そして、この和解内容は地方自治法の規定により、市議会の承認によって締結されました。

 いま全国では、本事件と同じく、指定管理者制度による公務公共施設の設置者である自治体と施設職員の雇用関係が争われるケースが増えています。今回の和解は、これらの事業団職員等のたたかいの前進をつくる上での具体的事例として、役立つとともに大きく激励するものです。

 以上の大きな勝利和解の背景には、私たちの公共施設の安易な民営化手段である指定管理者制度の導入に反対し、公務公共性を守るたたかいに対して、ご理解とご支援いただいた市民のみなさんをはじめ、全国の自治労連の仲間や滋賀県労連など仲間のみなさんの支えが大きな力となったものです。文末になりますが心よりお礼を申し上げます。