市になる要件(人口3万人以上)を満たすために合併するという意見がありますが、市になれば町村と何が違うのですか。

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 法的機能からみた違いは、ほとんどありません。また格の上下もまったくありません。事務の面である程度の違いがありますが、その違いも自治体リストラ、「規制緩和」で形骸化されようとしています。 

 「市となる要件」として地方自治法第8条1項において、以下のとおり定められています。

1. 人口5万人以上を有すること
2. 中心の市街地を形成している区域内にある戸数が、全戸数の6割以上であること
3. 商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全人口の6割以上であること
4. その他都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を備えていること

 99年の合併特例法の改正で、合併した場合に市となる要件を1の「5万人以上」を「4万人以上」になりました。さらに合併特例法の改正(2000年11月30日)が行われ、人口が「3万人以上」が要件となり、2〜4の条件は満たさなくても良くなりました。また現在の合併特例法の期限は2005年3月ですが、3万人以上で市に昇格する適用期限は、短期間に合併を促すために2004年3月までとしています。「時間的な制約」を強調して、市町村合併をすすめようとしています。

 それでは、市と町村ではどのような違いがあるのでしょうか。「市」と「町」「村」の法的機能というから見た違いは、ほとんどありません。また格の上下も全くありません。地方自治法など組織や事務についていくつかの点で違いがあります。

組織については

1. 議会の議員の定数(地方自治法第91条第1項)
2. 議会の召集の告示機関(地方自治法第101条第2項)
3. 議会事務局を置かない場合の書記局の必置制(地方自治法第138条第4項)
4. 収入役の必置制(地方自治法第168条第2項)
5. 選挙管理委員会の書記長の必置(地方自治法第191条第1項)
6. 監査委員の定数(地方自治法第195条第2項)
7. 福祉事務所の必置制(社会福祉事業法第13条第3項)

などがあります。

 事務については、市に生活保護法、児童福祉法、知的障害者福祉法等に基づく事務があります。また、市のうち、一定のものについては、保健所の設置、建築主事を置くなど、市の規模、能力等によってその処理すべき事務に差異があります。

 しかし、このような「差」の組織・事務でさえも、福祉、医療、教育などで組織と職の専門性を位置付けてきた「必置規制」などの「規制緩和」や自治体リストラにより、形骸化されようとしています。