市町村合併で「広域視点のまちづくりが可能」といわれていますが。

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 広域的な行政は低い同一の基準になりかねないとともに、広域行政の必要な部分は、都道府県行政、一部事務組合、広域連合などで対応できます。

  現在の高齢化社会のもとでは、高齢者が徒歩で交流できる範囲の地域社会が求められています。

 しかし、自治体の合併を進める場合、かなりの行政範囲が広がります。87年、88年に合併を行ったつくば市では、旧町村役場を利用した分散型の庁舎配置になっています。庁舎建設などの無だな費用の軽減ということでは意味はありますが、利用者が30キロ離れた庁舎間を移動するケースがあります。

 また、広域的な行政は低い同一の基準になりかねません。
現在、市町村合併に先行する形で行われている農協合併では、「広域化」により、きめ細かい農業指導が難しくなるなどの弊害が出ています。
全農協労連2000年度運動方針から
広域合併農協は、1組合員あたりの事業量 が減少し、それによる収益減を人件費削減でカバーする「減収増益体質」になっています。そして、経済連など連合会も含め、採算さえ合えば、利用の減少もやむを得ないとする経営姿勢が広がっています。
こうしたことが農家組合員の農協離れという悪循環を拡大し、経営をさらに深刻にしています。

 青森県が市町村職員や議員、住民を対象に行った合併要綱の説明会で、参加者から「農協や森林組合の広域合併でサービス低下を実感した。こまやかな行政サービスは可能か」という質問が出ています。

 確かに広域行政が必要な事務はあります。その必要な部分は、都道府県行政、一部事務組合、広域連合で対応できます。しかし、現在都道府県行政も大型公共事業中心の行政を行ったため、その役割を十分にはたしている状況にはなっていません。このことから、都道府県行政についても大企業・ゼネコン中心の政策を転換し、住民本位の行政が今求められています。

 また、自治省は合併後には、旧市町村の区域毎に「地域審議会」をおき、「新市町村が地域間のバランスをとって事業の実施をしているかどうかをチェックする」ことができるとしています(自治省パンフ「みんなの将来のために市町村のことを考えてみよう!市町村合併って」)。

 しかし、合併特例法(第5条の4)では地域審議会は「合併市町村の諮問に応じて審議し又は必要と認める事項につき合併市町村の長に意見を述べる」ことができるとしています。つまり、あくまでも意見を述べるだけで「決定する」しくみではありません。