市町村合併で行財政基盤の強化につながるのでしょうか。------------------------------------------------------------------------ 市町村の合併で財政規模は大きくなりますが、住民一人あたりの財政力が高まるわけではありません。さらに財政悪化の恐れもあります。 市町村の合併で財政規模は大きくなりますが、住民一人あたりの財政力が高まるわけではありません。大企業・ゼネコンが進めたい「重点的な投資」「大型プロジェクト」などの集中的な事業の実施には合併は有利になりますが、医療・福祉などの幅広い住民に対応する事業は切り捨てられるか、水準を下げていく方向にあります。 95年に合併した東京・あきる野市では合併調整方針で「サービスは高く、負担は低く」ということを打ち出していましたが、合併の翌年から国民健康保険税の大幅な引き上げがはじまりました。97年の行政改革推進委員会の「答申」では「サービスが高く、負担は低く」の合併調整方針を「これは合併時点のでの考え方であり、行政改革の第二ステップにすすもうとしている現在、いつまでもこの考え方に硬直化することを当委員会は危惧する」として、破棄することが打ち出されました。その後、各種の使用料や手数料の大幅引き上げがすすめられています。 また、岩手・盛岡市では92年に都南村と編入合併しましたが、その後バブルが崩壊や国の減税政策を受けて、合併建設計画の地方税収入が大きく下回る状況になりました。しかし合併建設計画にもとづく「ハコもの行政」への財政支出を止めませんでした。そのために一般会計に占める地方債が、92年が8.5%だったのが98年には19.8%となり、市民一人当たり50万円という借金財政になってしまいました。 政府は地方交付税や合併特例債などの財政的な誘導策をとっていますが、どれも期間が限定されており、それがすぎれば財政規模は「合併をしない」自治体と全く同じになります。一定期間がすぎると地方交付税も大きく減額となります。 滋賀県・湖北1市12町の歳入比較(長浜民報「ひきやま」から)
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