地方分権推進のためにある程度の基礎的自治体の規模が必要といわれますが。------------------------------------------------------------------------ いま必要なのは、そのような小規模自治体に対しての権限、事務と財源を保障する「地方分権」です。 人口が少ない自治体でも福祉重視の政策を実践しているところも多くあり、また大都市でも福祉切捨ての政策を行うとところもあります。 岩手県の沢内村でも人口規模6000人でも全国で先駆けた高齢者福祉が実践されています。また、群馬県の上野村でも自主財源13%、高齢化率が36.1%でも、保健活動に力を入れ、寝たきりの要介護老人は全国平均の約半分しかいません(「改訂版市町村合併―まちの将来は住民がきめる」自治体研究社)。 時事通信社が2000年10月に行った介護保険料減免制度の実施自治体の調査で、検討中の3市町村を含む87市町村が独自に減免していることが分かりました。そのうち、平成7(1995)年度国勢調査で人口2万人以下の自治体が47市町村と全体の54%を占め、20万人以上の市は9自治体(10%)にとどまっています。 また、「社会保障の経済効果は公共事業より大きい」(自治体研究社)では、社会保障充実で町づくり、村づくりをした実例が紹介されています。その中の一つに山形県最上町が挙げられています。最上町は人口約12000人、高齢化率は23%を超えています。しかし、「福祉・医療が町の活力の源泉」として、中村仁町長は「公共事業は一時的だが、福祉は恒久的」とその経済効果を強調し、「福祉や医療は、本来、命と心に安らぎ、人権を守る本源的なものであり、金額的尺度でははかれないものだが、町の発展のうえでは、福祉は町をよみがえがえらせるものとなっている」と語られています。 このように、小さな町だからこそ、住民の要求に応えられるきめ細かい福祉・保健活動が行えると言う面があります。 しかし、このような小規模自治体に対して「合併に追い込む」政策がとられています。4000人以下の地方交付税の削減が行われ、高知県では人口4000人未満の町村に対する普通交付税が3年間で2億3700万円が減少しています(別表参照)。また、総務省が5000人程度以下の町村の仕事を戸籍事務などの窓口業務に限定し、保健福祉や公共事業などの事業は都道府県が中心に担うという「小規模町村制度」の導入を検討しています。 いま必要なのは、このように小規模自治体に対して、権限、事務と財源を保障する真の「地方分権」です。 高知県4000人未満町村の普通交付税削減額(高知新聞=2000.9.29記事)
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